Sat, Oct 25, 2008
佐藤哲三の時代
万代島美術館で開催中の「佐藤哲三の時代 蒲原平野に生きた画家をめぐる人と時代」。
佐藤は新潟長岡に生まれ、新発田で生涯を過ごし44歳で他界した昭和初期の画家。
市内各地の常設展で何点かは観た事があったけど、今回はキュレーターの意気込みが伝わってくる内容。
まず初めは、佐藤との繋がりは良く分からないけれども、芳翠が三点でちょっとした不意打ち。
その後、佐藤が初めて書いたという油絵から時代を追って行き、同時代の作家の作品も多数展示。
初期の頃は誰の影響かが露骨に分かるような初々しくも力強い作品が多いのだけれど、後期には繰り返し登場するモチーフや独特の味わいの風景画があって興味深い。
生涯郷土の風景を描き続けたからと言って、ことさら「日本の風景」だとかは思わないけど、構図や余白の塗りつぶしなどは日本的。
けれども、それは彼が影響を受けたというヨーロッパのゴッホやスーチンを経由した逆輸入的な日本らしさなのかもしれない。
ゴッホだけでなくドーミエの画集も愛読していたとの事で、人物画の幾つかにはカリカチュア的な生活感があって面白い。
特に同じ郷土の人間だからか、どこかで見た事ある、といった様な人物が多かったり。
展覧会としての内容も良かった。
初めに初期の人物画が続き、魅力的なのだけどデッサンや連作が多くて食傷気味になった所で、中期の静物画と風景を組み合わせた独特の世界観が始まる。
そこで、岸田劉生の土手坂や武者小路実篤肖像といった名のある作品も登場。
それから後期の風景画は彼の人生とあいまって凄みを増していく。
ラストは著名人とのやり取りした手紙やチラシ、年表等で人となりや当時の世相も分かる仕組み。
そして、佐藤の開いていた児童画塾の展示室があったり。
子どもたちの描いた絵と共に、佐藤の直筆の説明文や寄付を呼びかけるポスターがあって面白い。
かなりボリュームがあって、最後の同時代の作家をまとめたコーナーはじっくりと見て回る余裕はなかったけど。
もう少し時間と体力に余裕のある時に見直したい気も。
で、マチスやルオーとか呼ぶと、高級食材を少しだけ、といった内容になりがちだけど、こういった具沢山な展覧会もたまには良いなと思った次第。
お薦めの展覧会です。