ひさびさにうんこふんだきぶん
とあるライブで一人の男の姿が目にとまり、その顔が焼きついて未だに頭を離れない。ボーカルはいかにもROCKERで、歌もメッセージもファッションもなかなかイケていて共感出来るものだったが、その歌のバックでノリノリで演奏する男の姿は他のメンバーに反して川向こうの世界からやってきた井出達。一見控えめの彼は何故か笑顔で結構レアな機材を手に体を動かしノリノリで演奏していたため、微笑ましく妙に際立ち目立っていたのだがそこが間違いの元凶と気づくのはもっと後のことだ。サラリーマンご用達の白いカッターシャツのすそをシルエットの曖昧なブリーチされたケミカルジーンズに押し込みスラックス用ベルトをきつく締め、足元はスニーカーというより白いズック。髪型もカッターシャツと大正明治顔にお似合いで思い出せないほどの7/3分けだったかどうでも良いダサさの極み。その彼が演奏を終えにこにことステージを降り、トリのバンドが始まり暫くのことだった。ステージ上で繰り広げられる素晴らしく熱い演奏に瞳きらきらさせながら聴き入っているとなにやら右目の端がうるさい。ふと見やると先ほどの彼が座り頭を振っている。しかも演奏者の前というか決して控えめではない位置で聴き入っている仕草が凄い。ついつい目に邪魔なものだからしっかり見てしまってさあ大変、彼の仕草はこのようになっていた。1.ステージ前方上手に一人で座る(他のメンバーは客の妨げにならないよう後方で歓談していた)2.目立つ位置に陣取る、3.目を閉じ頭を下げ腕を組む、4.そして演奏を評価する、といったスタンスで、時折首をNo!といわんばかりに振るというパフォーマンスは一見音楽好きの上客と捕らわれ易いが大間違い。俺は判っているどと言わんばかりの真に幼稚で失礼なパフォーマンス、その失礼で馬鹿げている猿芝居を1時間に近い時間ずっと気にし続けていたものだから、演奏は耳に届かず苛立ちを通り越して表に引きずり出して殴りたい欲求を抑えることで精一杯、更に演奏されていた方々にその失礼が伝わっていたかどうかは定かではないが、そっちにも気を遣ってひやひやしていたものだから尚更鑑賞どころではなかった。勘違いした馬鹿男は何処の街にでも居るものだが、その存在には間違いなく許されがたい罪がある。人は見かけで判断しちゃ駄目だし、誰とでも仲良くしなさいと言われて育ったけれど、無理なことだなあとつくづく思った。
|