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東京公園
映画「東京公園」(2011年/日本)を観ました。原作は、小路幸也(しょうじゆきや)著『東京公園』(2006年)。監督・脚本・音楽は青山真治。 写真家を目指す大学生の志田光司(三浦春馬)が、歯科医の初島隆史(高橋洋)から妻百合香(井川遥)の尾行を依頼され、東京都内の公園で写真を撮影するストーリー。血がつながっていない姉の志田美咲(小西真奈美)との恋愛も描かれます。光司の家に同居している高井ヒロ(染谷将太)は幽霊で他の人には見えない、マスターの原木健一(宇梶剛士)はゲイなど、登場人物が変わっているわりには、ストーリー展開は平凡です。東京公園というタイトルについては、「東京は公園を取り囲む大きな公園」というセリフがありますが、原作にはないので映画オリジナルです。途中で挿入されるゾンビの映画は本格的に撮影されていますが、なくてもよかったでしょう。劇中劇を入れたのは、青山によると「東京の二元性を表わしている」とのことですが。山田勲生・青山真治の音楽は使いすぎてややうるさめ。 志田光司役の三浦春馬は、あまり感情を出しません。富永美優役の榮倉奈々は明るいキャラクターを好演。志田美咲役の小西真奈美はかわいい。三浦春馬とのキスシーンはドキドキしました。初島百合香・写真の志田杏子役の井川遥はセリフがありません。初島隆史役の高橋洋のインパクトが強烈。 原作は、僕(=志田圭司)の一人称で書かれています。文体は「多いんだ」「感じるんだ」など、柔らかい口調で書かれています。各章にタイトルがつけられています。圭司が亡くなった母親を想う「detail」から始まり、圭司が百合香を追う「○○公園」と、圭司がヒロなどと会話する「days ○」が交互に配置され、中盤に母親の入院で帰省する「Homecoming」から構成されています。 最後のページに「To “Follow Me!”」と書かれています。これは、小路が初めて観た洋画「フォロー・ミー」(1972年)のオマージュとしてこの作品を書いたという意味とのこと。 「真剣に撮った写真には確かに真実の姿が映る」「ファインダーを覗けば、その人をレンズ越しに捉えて写真に撮れば、その人がどういう人かがわかるという確信が僕にはあった」「写真集なんかを観るとそのカメラマンと被写体との関係を勝手に感じてしまうこともある」など、写真に対する知識が豊富です。 ・原作と映画では出てくる公園が違います。共通している公園はひとつもありません。映画では撮影しやすい公園が選ばれたのかもしれません。海沿いの潮風公園はいい風景でした。百合香がアンモナイトのように渦巻き状に公園を散歩していたというオチは映画オリジナル。 ・主人公の名前は、原作は圭司ですが、映画では光司。故郷も原作では北海道旭川(小路の出身地)ですが、映画では伊豆大島です。 ・初島が光司に百合香の尾行を依頼した際、原作では百合香を妻だと明かしますが、映画では明かされません。映画のほうがミステリアスで面白かったです。また、原作では、圭司は百合香と会いたい気持ちが高まり、言葉を交わさずに会話できるようになります。 ・映画では、百合香に似ているのは亡くなった母親の杏子ですが、原作では高校時代に付き合った里菜。映画の母子愛のほうがストーリーとして美しいでしょう。 ・姉の名前も原作では咲実ですが、映画では美咲。映画のほうが感情が前面に出ます。涙を流したり、光司とキスしたりするのも映画オリジナル。 ・ヒロの本名は、原作では広井博司ですが、映画では高井ヒロ。原作では生きている設定ですが、映画では亡霊で、富永の元カレだったという設定です。原作では少年院に送られたため、親子の縁を切られた過去も書かれています。