新月の裏側

それは誰にも見えないけれど、きっと光が照らしてる。

主に2ch等に投稿したとらドラ!のSS保管庫。
記事タイトルの()内は、まとめサイトでのタイトルです。

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2010/3/14 (日)

とらドラ!で三題噺「深呼吸」「かわいい」「あくび」

「ふわ〜〜〜ぁ……」
 竜児の目の前で、小さな顔が大きく大きく口を開ける。
「……おい大河」
「何よ?」
「またお前、休み前だからって夜中過ぎまでゲームやってたんだろ」
「ゲームじゃないわ、ネットよ」
「同じだ馬鹿。というかだな、人前でそんなに大口開けてるんじゃねえよ。もうちょっと我慢するとか、せめて口元を手で覆うとか」
「何よ、ばかちーみたいにかわいいフリでもしろって言うわけ?」
「そこまでは言ってねえけど、女子の嗜みとして恥じらいとかそういうものをだな」
「あのね竜児、あくびってのは自然発生的な深呼吸なの。恥ずべきことなんて何も無いのよ」
「そういう問題じゃねえ。お前、北村の前でもその言い訳出来るのか?」
「う……北村君ならきっと、そんなこと気にしないもん」
「おう、あいつならそうかもしれねえな。それでこう言うんだ。『おお、逢坂は実にいい歯並びをしているな。虫歯も無いようだし結構なことだ』って」
「そ、それは……」
「嫌だと思うなら、少しはお淑やかにするんだな」


 一週間後。
「ふわ〜〜〜ぁ……」
 竜児の目の前で、小さな顔が大きく大きく口を開ける。
「……おい大河」
「何よ?」
「この間注意したばっかりなのに、もう忘れたのかよ。男の前でそんなに大口を……」
「うるさいわね、憶えてるわよ。外では、特に北村君の近くではちゃんと気をつけてるもの」
「それじゃあ、何で……」
「あのね竜児、今ここには私とあんたしか居ないわけよ」
「おう、それがどうした?」
「竜児相手に今更恥ずかしがることなんて無いもの。だったら気をつかう必要だって無いじゃない」
「……そういう問題……なのか?」

――――――――――
キーワード:「あくび」

大河が眠そうなんで寝かせてやる……ってのは以前別のお題でやっちゃったので、今回は別の方向で。

作成者 見月 [ コメント : 0]

2010/3/10 (水)

とらドラ!で三題噺「こっち」「扉」「好転」

「やっちゃん、おやすみなさい」
「それじゃ、ちょっと行ってくる」
「は〜い、大河ちゃんまた明日〜。竜ちゃんも気をつけてね〜」
 大河は家族の待つ自宅に帰るべく。竜児はその大河を家まで送るべく。
 扉の外に出て、竜児は大河をじっと見つめる。
「なあ大河、どうしたんだよ」
「どうしたって……何が?」
「何がじゃねえ。今日はなんか元気がねえじゃねえか」
「別に、そんなこと……」
「あるって、見てりゃわかる。なあ大河、変に隠さないで言ってくれよ。そりゃ、俺じゃまだまだ頼りないと思うかもしれねえけど……」
「そんなことない!竜児は頼りなくなんかない!」
「それじゃあ、さ……」
「……ん……あのね……私、今幸せなの。ママとはまだちょっとぎくしゃくしてる所あるけど、新しいパパは優しいし、弟は可愛いし」
「おう」
「クラスが違うから前みたいには会えないけど、学校に行けばみのりんや北村君がいて、ついでにばかちーもいる」
「川嶋はオマケかよ……」
「それに何より、竜児がいる。やっちゃんも、ブサ鳥も。こっちに帰ってきてから特にトラブルも無いし、ほんと、人生そのものが好転したって感じで」
「おう、よかったじゃねえか」
「だけどね……だからこそ……たまに、怖くなるのよ」
「……怖く?」
「そう。またちょっとした事でこの幸せが壊れちゃうんじゃないかって。実は私は底無しの穴の上の薄い板に立ってるんじゃないかって」
「そんなこと……」
「頭ではわかってるのよ、そんなことがあるはずが無いって。根拠の無い妄想なんだって。だけど……」
 大河は俯いて、自分の体をぎゅっと抱き締める。
 そうだ、大河はこれまで18年近い人生の大半を、そんな恐怖と、絶望と、闘いながら生きてきたのだ。
 その傷は竜児が想像するものよりずっと深く、昏いのだろう。たとえ今は幸せでも、そう簡単に癒えるものではないのだろう。
 では、自分は――共に生きると誓った高須竜児は――そんな大河に何をしてやれるのだろうか?
「…………大河、ちょっと待ってろ」
 竜児は言うと踵を返して家の中へ。
 『あれ〜?竜ちゃんどうしたの〜?』『おう、ちょっとな』などといったやりとりの後、再び現れた竜児は大河の手を取り。
「ほら、こいつをやる」
 そう言って手渡されたのは青く透き通った、
「……ビー玉?」
「ビー玉じゃねえ、そいつは如意宝珠だ」
「にょい……何?」
「竜の絵でさ、片手に珠を掴んでるやつって多いじゃねえか」
「そうなの?」
「……そうなんだよ。その珠のことを『如意宝珠』って言うんだ」
「ふうん……」
「まあ、竜の力を宿したお宝ってとこだな」
「で、これがそうだっての?」
「おう」
「……ひょっとして、竜児のにょいほーじゅだとか言いたいわけ?」
「おう。だから、もし万が一何かあっても、そいつが必ずお前を守ってくれる」
 外灯の光にかざしたそれは、空を思わせる柔らかなブルー。
「……ぷっ……くくく……」
「大河?」
「な〜にが如意宝珠よ。こんなの只のガラス玉じゃない」
 クスクスと笑いながら竜児を見上げる大河。その瞳はキラキラと輝いて。
「お前なあ……そんな身も蓋もねえ……」
「でも……大事にする」
 大河は胸元で、青い珠をぎゅっと握り締める。
「おう、大切にしてくれ。なんせ俺が幼稚園の頃からの宝物だからな」
「へえ……それじゃ、これからは私の……ううん、私と竜児の宝物ってことね」

――――――――――
キーワード:「好転」

裏というか自分設定だけど、件の青い珠はいつどうやって手に入れたのか竜児自身にもわからなかったり。

作成者 見月 [ コメント : 0]

2010/3/6 (土)

とらドラ!で三題噺「迷惑」「同じ店」「戻らない」

 同時に料理を口に運び、大河と実乃梨は同じように眉をひそめる。
「……ねえみのりん、どう思う?」
「……ん〜、なんか微妙?」
「というか、ぶっちゃけちょっと不味くない?」
「むう、やっぱり大河もそう思うかね」
「ここ、雑誌で紹介されてたのと同じ店だよね?クリスピークリーミーみたいに名前が似てる別物ってことないよね?」
「そのはずだけど……というか、連れて来たの大河じゃん」
「私だって本で見ただけで、実際に来るの初めてだもん」
「う〜ん、急に客が増えたせいで味が落ちたのか、はたまた最初から提灯記事だったのか……」
「ばかちーに文句言ってやらなきゃいけないわね」
「いや、あーみんは関係ねーべ。同じ雑誌に載ってたってだけで」
「クレームつけてやろうかしらね……『この料理を作ったのは誰だぁっ!』とか言って」
「やめときな。そんなことしてもお金は戻らないだろうし、他のお客さんの迷惑になるし」
「あ〜あ、久しぶりのみのりんとのデートだってのに、ケチついちゃったわね」
「まあ気にすることないさ。それよりこの後のショッピングを楽しもうぜ」
「……そうだみのりん、今日の夜は空いてるの?」
「ん?今夜はこっちに泊まって明日の朝一で帰るから、多少遅くなっても大丈夫だけど?」
「わかった。ちょっと待ってて」
 言って大河は携帯を手に席を立ち、暫ししてから戻ってくると、
「お待たせみのりん。今日買い物の後、うちに来て。竜児が美味しい料理用意しといてくれるって」
「……え?二人の愛の巣においらなんかがお邪魔しちゃっていいのかね?」
「みのりんなら、私も竜児もいつだって大歓迎に決まってるじゃない」
「しかし、新婚でアツアツの二人に水を差しちゃうってのはやっぱりねえ」
「新婚って……確かにそうかもしれないけど、もう半年以上経ってるんだし」
「いやいや、結婚一年目の夫婦は常にラブラブでなくてはならないって法律にもだね」
「どこの法律よ、それは。竜児も待ってるって言ってたから、ね?」
「ん〜……それじゃ、お言葉に甘えさせてもらおうかね」
「よかった。竜児ったら張り切ってたから」
「そんなに?」
「うん、私が今日はご馳走食べてくるって言ってたから、それに張り合っちゃってたみたい。『8時間煮込んだビーフシチューだ』だって」
「……あれ?今は食事は大河が作ってるって言ってなかったっけ?」
「普段はね。だけど休みの日ぐらいは作らせてくれって竜児が」
「う〜ん、高須君らしいというかなんというか……」
「いいストレス解消になってるみたい。その分拘りが凄いことになっちゃって大変だけど」
「それは……本気で凄そうだね?」
「私としては美味しいもの食べられるからいいんだけどね」
「だけど主婦としては、旦那の方が料理が上手いってのは微妙じゃないかね?」
「まあ……ちょっとはね。でも最初からわかってたことだし」
「それもそうか」
「それに、私が美味しいっていうとものすごく嬉しそうなんだもの。『大河に美味い物を食べさせるのが俺の幸せだ』とか言っちゃって」
「……あ、今のでなんだかちょっとお腹一杯の気分」

――――――――――
キーワード:「同じ店」

竜虎の場合、きっと一年どころじゃなくずっとラブラブw

作成者 見月 [ コメント : 0]

2010/3/2 (火)

とらドラ!で三題噺「千円」「寄る」「自習」

 五時間目の授業が自習となれば、クラスの大半は友達と駄弁る、雑誌を読む、寝る等々で真面目に勉強しようというのはむしろ少数派で。
 竜児としてはその少数派でありたい所だが、それを許さないのが目の前に一人。
「ねえ竜児、やっぱり晩ご飯はすき焼き食べたい」
「駄目だ」
「すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜、すき焼き〜」
「今日は魚の特売日だからサバミソだって言ったじゃねえか」
「竜児だって昨日のテレビ見たじゃない。美味しそうだったじゃない。食べたいじゃない!」
「ああいうのは百グラム千円以上するような高い肉使ってるから美味いんだよ。今のうちの予算で使える肉じゃ、期待外れでがっかりするのがオチだぞ」
「うう〜……それじゃ……せめてお肉!お肉食べなきゃこの衝動が治まらないから!」
「お前なあ……」
「お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉お肉……」
「ああもう、わかったわかった。帰りにスーパー寄るから、安くなってるやつでいいな?」
「わ〜い、竜児ありがと〜!」
「しかたねえ、鯖は明日の弁当に使うか……」
「ほら竜児、四時から豚バラ薄切りがタイムサービスだって!生姜焼き!」
「大河……お前はなんでチラシとか持ってきてるんだよ……まさか最初から!?」
「んん〜?なんのことかしら〜?」

――――――――――
キーワード:「千円」

作成者 見月 [ コメント : 0]
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