2012年1月28日(土)
かなりの異変ぶり バルチック海運指数
バルチック海運指数をご存知でしょうか?
バルチック海運指数とは、イギリスのバルチック海運取引所(The Baltic Exchange)が算出するバラ積み船運賃の総合指数のことをいいます。バルチック海運指数は海運業界の代表的な景気先行指数の鉄鉱石、石炭、穀物を運ぶ不定期船の運賃指標ですが、それがこの1月に2008年の世界的な金融危機直後の水準まで恐ろしいほど急落しています。
昨年10月頃にピ−クをつけてから12月初めまでは緩やかな落ち込みでしたが、12月が終わる頃から急落し、この1月に至っては世界経済がリセッション入りするかのような落ち込みぶりです。
「何かある」、「何かが起きる」、そんなことを感じさせるようなバルチック海運指数です。
ゴ−ルデンチャ−トの中から、バルチック海運指数を選択してご覧になってみて下さい。
http://www.opticast.co.jp/marketd/shihyochart#exsheet
週足からは最近の落ち込みぶりが、月足からは2008年のリ−マンショック以来の落ち込みぶりになっていることが確認できます。
バルチック海運指数が先行指標だったとしたら、今は上げている株価がバルチック海運指数に追随してくることになります。
ちなみに、株をやっている方がいれば、海運株はショ−ト(カラ売り)で儲けられそうな予感です。
2012年の世界経済
FOMCサプライズで米ドル/円はどう動く?
ドル高・円安予想だが最後の波乱に要注意
01月27日 吉田 恒氏
1月25日に行われたFOMCで、サプライズな金融緩和強化が決まりましたが、これは欧州債務危機からの判断が大きかったと思います。
米ドル/円も異常な小動きからそろそろ抜け出す兆候もあるのですが、その方向を決めるのが米国金利ということになると思っています。
それにしても、景気指標が改善しているのに、金利が上がらないというのはなぜでしょうか?それは米国のせいではなく、やはり欧州のせいということになるのでしょう。このFOMCなどの動きを受けて、米国金利がどうなるかがポイントになります。その観点でいえば、本来はそれほど米国金利が一段と下がることにはならないため、米ドル安・円高が進むことにはならないと思います。
この人は、今も相変わらずですね。認識も、「サプライズな金融緩和強化が決まりました」とか、「景気指標が改善しているのに金利が上がらないのはなぜでしょうか?」とか、本気でドル高・円安を信じている。
前述のことに関連して、「吉田さんは、米国経済が終わったと思いますか?」と質問したら、「終わっていないに決まっているじゃないですか」と答えることでしょう。もし、経済的なファンダメンタルズがわからないのであれば、もっと人の言うことに耳を傾けた方がいいと思います。米国の政策金利が上がらないのは欧州のせいだとするような考えは、あまりにも知識が薄弱過ぎます。仮にも名の知れたアナリストなのでしょうから、もっと多くのことを学ぶべきでしょう。
まずは、目先の世界経済の観方からいきましょう。
まず、米ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授(経済学)は、米経済成長率が今年は2%を超えないだろうと述べ、FRBが量的緩和第3弾(QE3)を実施しても効果はほとんどないとの見方を示した。FRBによるQE3実施に向けた行動は「解決策にならないし、米経済には追加の金融刺激策はあまり助けにならない」とした。 「この1年に2%成長を遂げるのは難しいだろう。リセッションのリスクは以前より低いものの、米経済は依然として危険ゾーンにある」との認識を示した。
次に、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、カーメン・ラインハート氏は、「今年は深刻な経済危機が生じるか、あるいは昨年に続いてすべての先進国が失業率の高止まりや低成長、全般に遅い景気回復といった状況に見舞われるかのどちらかになるだろう」と述べています。
FOMCでは、今から2年後になっても金利はゼロに据え置くとしています。しかし、その考えの出発は、今現在のように米国経済がホッと一息ついているような状況から判断して、あと2年は据え置くべきだろうと考えていることです。しかし、個人的に察するところ、あと2年待つ間にソブリンリスクや地政学リスクが大きく騒がれるような局面があると考えています。その可能性として、やはり中国経済のソフトランディングに関係したことが起きそうだと思っています。それは何も、米国のようなサブプライムロ−ン証券のような極悪非道の負の清算が中国にも起こるというようなことではなく、世間が思っていた中国経済のソフトランディングよりもやや下ブレしてしまうようなものです。
そして、最近ではイランが少し騒がしいようですが、ムバラク前エジプト大統領を退陣に追い込んだ民主化要求行動の開始から丸1年となるエジプト各地でまだ数十万人がデモを繰り広げているような状況にあり、シリアなども騒がしいようです。その中で、米国は同盟国を通じてイラン封じを画策していますが、どうやらイランを叩いておきたい意図があるようです。この紛争が拡大することになると、イラン、そして核保有国のパキスタンをも巻き込むような可能性もあります。ビン・ラディン殺害に関してパキスタンと米国の溝は埋まっていませんし、イランがまさしく「火に油を注ぐ」ことも否定できませんし。
まだ2012年も始まったばかりで、どのようなことが起こるかわかりませんが、個人的にはピーターソン国際経済研究所のシニアフェローのカーメン・ラインハート氏の考えを支持します。
米国をいかにうまく殺せるか、それが問われ続ける時代
米第4四半期(10−12月)の経済成長率は予想を下回る伸びで消費者は貯蓄を切り崩す形で支出を増やし、政府も歳出を抑えている。バンク・オブ・アメリカ(BOA)のシニア米国エコノミストは、「2012年は予想以上に勢いが失われている。所得の伸びは緩やかで、貯蓄率は低下している。これでは消費者は今後、景気に貢献できなくなる」と指摘した。
第4四半期のインフレ調整後の実質可処分所得は年率0.8%増、2011年通年では0.1%減少した。貯蓄率は3.7%と、2007年第4四半期以来の低い水準に下げた。政府支出は4.6%減少。これで5四半期連続の削減となった。
まぁ、市場が勝手につくり上げた予想に届かなかったようだが、個人的には「終わった経済」としては上出来だったと思えます。米経済がモノやサービスを生み出す力は、2年かけてようやく直近のリセッション前の水準にまで回復しつつある。しかし、「失われた」成長を取り戻せることはない。消費も雇用も、そして威厳も。
米国の人口は年間300万人以上増えており、それらの人々はいずれ住む家が必要だから、住宅需要がいったん増え始めれば着工件数も回復するだろうと、これまた勝手な想像をしている者も多いらしい。米国経済の先行きで明るさを語ろうとする時、いつも「タラレバ」から始まる。上述でも、「住宅需要がいったん増え始めれば」という前提がつく。ところが、この前提すら成り立たないのに話を飛躍させるから、いつもおかしなことになるわけです。当たり前の論理、まともな論理が欠如しているからです。マイホ−ムというのは、欲しいと思えば誰でもタダで手に入るものではない。3000万円、5000万円という住宅取得代金を払えることで手に入るものである。では、そのような大金をどうやって稼ぐのかというと、それは労働の対価で手に入れられることになる。しかし、今の米国においてはまともな労働が得られない、あるいは世界的に米国の労働力は求められていないという現実がある。それを助長しているのが、上述にある「米国の人口は年間300万人以上増えている」ことに通じる。
前にも書き記したことだが、ベビ−ブ−マ−が高齢化に進んでいるが、その高齢者たちは今後も働き続けなくてはならないような時代に入っている。株などのリスク資産運用で財産を目減りさせ、住宅の価値も減った。もともと持ち家のない人には関係のないことだが、米国の社会保障額も総じて縮小している。米社会保障庁によると、1981年には平均で退職前の収入の52%が支払われていたが、2001年には39%まで落ちている。2010年には35%あたりなのか。そして、全額支給年齢がこれから67歳へ段階的に引き上げられると同時に、早期退職者への保障額が減額されるため、この数値は今後さらに低下すると予想されている。
今までは、高齢となった者が第一線から身を引き、次世代の若者に雇用を譲ってきた。雇用メカニズムで世代の新旧交代がスム−ズに行われていたわけだ。ところが「老兵は死なず」ではないが、今は高齢者が職を譲ろうとしない。生きるためには食べ物を買うお金が無ければ生きられない、そんな切羽詰った状況に追い込まれている高齢者が増えている。だからこそ、米国では若年層の雇用破壊がいっこうに改善されていないのです。
個人的に、よく米国経済が「終わった経済」だと言いますが、GDPがプラス成長だから終わってないとか、そういう次元の問題を言っているわけではないのです。政府やFRBがドル紙幣をばら撒けば、GDPは拡大して当たり前なのです。逆です。政府やFRBがドル紙幣をばら撒かなければならないような時代だからこそ、米国は「終わった経済」なわけです。
これからベビ−ブ−マ−が高齢者になりますが、その人たちが次世代の若者たちに職を譲らなかったら、いったいどうなるのでしょう?年間300万人以上の若者が学校を卒業して、新たに職探しを行っても職なんてあるわけがありません。米国の労働市場は、年に300万人以上の新たな雇用を受け入れる拡大市場ではないわけです。米大手企業は、米国内の労働市場を海外へ輸出しています。大手金融機関がいい例ですが、逆に人員削減などを進めて、労働市場は縮小する方向にあります。
世界の政府関係者や投資家が、米国の「終わった経済」を認めようとしない、いや認めたら米国債の信用崩壊につながるから決して許されないと守りに入る気持ちもわかるのですが、私は事実をもって米国が「終わった」ことを立証していきます。米国をいかにうまく殺せるか、それが問われ続ける時代であることを疑いません。

