Friday, February 17, 2012
『私の叔父さん』企画書の中の門外不出の私の言葉
ここに掲載する私の文章は、2年半程前に『私の叔父さん』を製作体制にまで立ち上げる過程で書いた企画書の企画意図の部分です。
当然、昨年3月11日に起きた東日本大震災の前に書いたものです。
にも拘らず、
「この、希望が持ち難くなり、自信を失った満身創痍の現代日本に・・・」
と云う一文が出て来ている?!
そう、東日本大震災の前からこの国は、かなりヤバイ状態になっていたことを思い出そう。
その上に、更に大地震、津波、東電福島原発事故で満身創痍となっている今の日本。
今の現状で読んで貰った方が企画がすんなり通りやすかったかもしれない。
何れにしろ、書かれているような意図で企画した作品であることは間違いないのです。
ジックリとお読み下さい。
門外不出の文章です(笑)。
【 「愛」と「死」と「癒し」が大安売りされてる時代だと思う。
特に映画界における大安売りの仕方には目に余るものがある。
勿論、連城三紀彦氏の『私の叔父さん』も愛と死を題材としている。
しかし、切実な愛が持つ、全てを巻き込み禁忌さえ乗り越えていく圧倒的なエネルギーが品格を持って描かれ、私の心を打ち続けてくれる。
跋扈する凡百のバッタ物とは一線も二線も画し、読むものに上質なシルクのような「本物の癒し」を与え続けてくれている。
もっと言わせてもらえば、本物の愛が、人が人を思う心が緻密に、そして大胆に描かれており、幾度読み返しても、その度に心から涙が溢れ出てしまう稀有な作品なのだ。
助監督時代に一読し、映画化したい! と映画作家としての本能が騒ぎ始め今に至ることを告白しておく。
もとより、19年間に亘る作品を同一人物で映像で描く難しさは知っている。
しかし同時に、同一人物でなければ映画として成立しないことも知っている。
果たして、田原構治を演じられる俳優は存在するのか?
8年前、高橋克典氏と『竜二Forever』と云う作品で仕事をし、故・金子正次に成り切った俳優魂に触れ、彼ならできるかもしれないと直感した。
今年になって再会し、直感は確信となった。
今しかない。
ローバジェットでも自主製作でも良いから、今の高橋克典で『私の叔父さん』を撮りたいッ。
そして、「本物の愛とドラマ」によって「本当に人が癒される素晴らしさ」を現代日本にプレゼントしてやりたい、と切望するのである。
この、希望が持ち難くなり、自信を失った満身創痍の現代日本に・・・。 】
この気持ちは今も全く変わらない。
作品が完成した現在、この文章を読み返すと克典君に対する私の直感は外れていなかったと確信している。
補足ながら、この企画意図を書いた時点では、他の配役は誰も決まっていませんでした。

