2008年9月2日(火)
福田首相が辞任表明「新布陣のもとに政策実現を」 早期解散・総選挙強まる
2008.9.1 産経
福田康夫首相は1日夜、首相官邸で記者会見を開き「新しい布陣のもとに、政策の実現を図っていかなければならない」と述べ、首相を辞任する考えを表明した。福田首相は就任後11カ月の辞任表明となり、安倍晋三前首相に続き、2代続けて首相が約1年で退陣に追い込まれる異常事態になった。新首相のもとで早期の解散・総選挙を模索する動きが強まりそうだ。
首相は午後9時半過ぎからの会見で「国民目線での改革に着手した。(これまで)野党は審議拒否や引き延ばしをしてきて、時間がかかった。次の臨時国会で同様のことはあってはならない。態勢を整えて臨むべきだ」などとして、新首相のもとで、臨時国会に臨むべきだとの考えを示した。
この時点で辞任を表明した理由については「今が政治的空白を作らない一番いい時期と考えた」とした。辞任を決断した時期については「先週末までに決めた」と語った。
福田内閣は昨年9月に発足し、衆参両院で与野党構成が逆転する「ねじれ国会」で法案成立に難渋してきた。揮発油(ガソリン)税の暫定税率をめぐる与野党攻防でガソリン価格が1カ月の間に1リットル当たり25円程度上下する混乱を引き起こしたほか、4月に導入した後期高齢者医療制度でも「高齢者いじめ」と世論から強い反発を受け、発足当初5割あった内閣支持率は2割程度に低迷していた。
7月には、北海道で開催した主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)後に、人心一新のため念願の内閣改造を断行したが、大幅な支持率回復はなかった。秋の臨時国会を前に、新テロ対策特別措置法案の延長の是非や新たな経済対策、衆院解散総選挙の時期などで連立を組む公明党との関係も微妙になっていた。
福田首相の後継には、自民党の麻生太郎幹事長らが有力視されている。
高齢者医療制度:揺らぐ制度の根幹 西濃運輸健保解散で
毎日新聞 2008年8月21日
厚生労働省は急速な少子高齢化への対策として、老人医療費の国庫負担を抑え、高齢者医療を大企業の健康保険組合の保険料で支えるという大きな制度設計図を描き、政策の転換・拡充を進めている。西濃運輸健保の解散は、一グループ企業のケースとはいえ、他にも広がる可能性があり、そうした政府の狙いが制度の根本から揺らぎかねない恐れを示す出来事だ。
厚労省によると、後期高齢者医療制度に対する08年度の健保組合全体の支援金額は、前身の旧老人保健制度への拠出金(07年度)より8.3%増の1兆2266億円。中小企業の会社員が入る政府管掌健康保険(16.9%減、1兆4293億円)などに対し、突出して増える見通しだ。
旧老人保健制度は、75歳以上も既存の医療保険に加入。高齢者の割合が高かった政管健保は、老人医療費が膨らむ仕組みだった。だが、政管健保の給付費には13%(8300億円)の国庫負担が投入されている。
その抑制を目指す厚労省は、各医療保険の支援金を現役世代の加入者数に応じて決める後期高齢者医療制度を発足させた。現役の加入者が多く、国庫負担が53億円に過ぎない健保組合からの支援金を増やすことで政管健保などの支出を抑え、国庫負担を減らそうとした。
しかし、同制度廃止に伴って新設された前期高齢者への納付を含め支援金の大幅増は健保組合の屋台骨を揺るがせている。健康保険組合連合会によると、08年度は全体の9割、1334組合が赤字になるという。
141組合は保険料を引き上げてまかなう見通しだが、今後負担に耐えられず解散に追い込まれ、多額の国費負担を投入する政管健保に移る健保組合が増える可能性もある。そうなれば、国庫負担削減を目指した厚労省の方針は根底から崩れることになる。【吉田啓志】

