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2007/8/31 (金)

今月もおしまい

だましだまし分割の夏季休暇をとりつつ、テストと打ち合わせに消費した今月でしたが、来月からはいよいよ劇場作品に本腰を入れます。

今回の劇場作品は、コンポジット面で言えば、今までの総決算…つまり、フィルム撮影アニメスタイルを「ある意味」肯定し踏襲したスタイルであると同時に、次世代の要素も多く含まれたスタイルになると思います。スケジュール的には、よそから聞こえてくる「凶悪な」状況とは一線を画した、常識的で健全なスケジュールです。…こう言う作品ばかりだったら、悲観的な感情に墜ち込まずに済むんですけどネ…。

私が劇場作品において、毎度スタッフに要求するのは、「自分で絵を描いて」と言う事です。手本…すなわち作画で言うところのキャラ表的なものは何点か作りますが、そこから先はスタッフ各々の采配で絵をまとめ上げていきます。テレビ作品は「ごく僅かな時間の中で、どれだけの事ができるか?」と言う思考が支配的ですが、私の関わる劇場作品の場合は「充分な時間を与えられた中で、どれだけの事が表現できるか」が重要事項となります。当然の事ですが、それに見合うギャラは支払われます。ギャラを安く値切ると言う事は、「そのくらいの出来で良い」と言う事なのですから。

考えてみればコンポジット作業者…特に「撮影」と呼ばれている作業者の中で「自分の値段は、いくらか?」をシビアに突き詰めて算出している人を、フリーの人以外ではあまり見た事がありません。「自分の技術は、結局、何円なのか」をちゃんと把握・自認する必要があります。…もちろん、把握したところで、なし崩し的に「評価格以下」の仕事も請け負う事はたくさんあるでしょうが、それが「把握しなくても良い」事には繋がりません。

「自分の値段を把握する」事が、ひいては自分の技術の管理維持及び技術の向上につながりますし、「買い叩かれない」基礎を形成する事にもなります。さらには「自分は「何用」の人間か?」も意識できるようになります。

でもまあ、「末端の作業者ごとき」にそのような自立心を持って欲しくないと思う人間も確実に一定数いるでしょう。そうした勢力に抗う為にも、最低限の情報として「自分の値段」を把握しておくべきだと思います。自分の「能力」が、「買い手」に認識されているか否かで、自分の能力は生きも死にもします。

あれれ、またこんな話になってもうた。

海に行く間もなく、今年の夏も終わり‥‥。

作成者 ezura

2007/8/28 (火)

作画〜コンポジット、再考(追記)

私が考える「新スタイル」をユーザに提供するには、絵的な面だけで言えば、絵の繊細さ・大胆さなどをちゃんと配布メディアに収録する技術が肝となります。また自費を割いて購入したユーザが「バカを見ない」ように、コピーコントロールの技術は必要不可欠でしょう。

私の目指す映像は、どのタイプも広大な情報収録容量を必要とします。もちろん、情報を間引いても絵崩れしないよう作りますが、次世代映像メディアにおける最高画質を「購入ユーザの為の品質」となるよう設計しています。(必要ならば、もっと高品位な映像も提供できるよう原版を管理しています。)

購入ユーザの為にも、テレビ・レンタルにて提供する場合は、ちゃんとビットレートを下げたりダウンコンして提供する必要があると思います。それでも、現行DVDよりは綺麗な画質ですから、安価に視聴する用途なら問題ないでしょう。

書籍は「手元に置いておく満足感」がありますが、現行DVDはどうでしょうか?‥‥HDへの移行期である現状も手伝ってか、喜びが薄いのは否めません。

一生懸命貯めたお金で高品位テレビとプレーヤを買って環境を揃え、さらに映像ソフトウェアを購入したお客さんに対しては、その時代で流通可能な最高スペックの映像を提供したいと、私は思います。

私の考える「新スタイル」の1つに、「線画の息使いを、最良のコンポジットで視聴者に伝える」非常に繊細な映像スタイルがあります。これは現行のSD解像度では不可能であり、1920pxのフルHDでようやく実現可能となるものです。

 絵でしか成し得ない表現を、生々しいほど近距離で、ユーザが感じ取る
 お気に入りの高価な画集を開いて、魅入っている時のような満足感
 ディスクを入れてフルHDのテレビで見るのが楽しみ

コストを支払って購入してもらうには、例えば上記のような満足感を提供しないとダメなんじゃないか?…と思います。安く観たい人には低ビットレートの放送画質、好きで買ってくれる人には最高画質と言う構造です。つまり、ビットレートを変えても大してニュアンスも変わらない映像しか作れないのなら、お客さんは「わざわざ買う意義」を見失ってしまいます。

購入ユーザに対し、「我々の技術の結晶です」と胸を張って売れる映像を作る‥‥のが、従来の枠から脱出する為の、基本中の基本‥‥だと思います。

作成者 ezura

作画〜コンポジット、再考(3)

〜2から続く

しかしこの2番目の方針は、コンポジット部署だけの開発ではどうにもなりません。絵コンテ(演出)・作画・美術・色彩設計(仕上)、もっと言えば、シナリオ〜企画に及ぶ「大革新」です。つまり、プロダクション(作品制作集団)が一丸となって、密にネゴシエーションを取りつつ、新スタイルを模索する必要がある訳です。

また、各セクションにかかる技術的負担は、作画マンの重圧と同等になります。例えばコンポジットに関して言えば、「絵は描けないけど、なんとなくアニメ制作に関わりたい」と思ってAfter Effectsを使っているような人間では、到底ついていけなくなります。絵画的センスとモーションセンスを多く必要とする為、原画・線画は描けなくても、絵画をたしなむ、もしくは写真をたしなむ基礎技術は必須となります。

作画にかかる重圧は相変わらずですし、もっと増えるかも知れません。ただし、「線画だけあっても、絵にならない」(つまり、「並撮」では全く絵にならない)制作システムなので、作画後の作業時間はオミットされません。つまり、制作管理の難易度も劇的に上がる訳です。

…で、ある人種は考える訳です。「そんなに大変なら、今のままで良い」と。

しかしながら「今のまま」=今まで通りの作風の作品に、高い値などつきません。結果、従来の枠の中での陣取り合戦になる訳です。もう、この構造はどうしようもない。

「新スタイル」などと、あまりにも実現が困難で、観方によっては「荒唐無稽」とも思われてしまう考えかも知れませんが、実際問題として、「何らかの決断・打開策の実行」を要する程、アニメの現場は追いつめられているように思います。「今までは何とかゴマかしゴマかし維持してきた。しかし今後は…」と言うような、制作上の岐路に立たされている実感をひしひしと感じます。

ある人は「今はキツいけど、いつかは楽になる日が来る」と根拠の無い楽観をイメージするかも知れませんが、「楽になる」ための戦術・戦略もなく、未来のビジョンすら持たなければ、今と全く変わらない「今まで通りの未来」が続くだけです。逆に、さらに状況が悪化する事だってあり得ます。

こうした私の雑感を「ヒステリー」ととるか、「問題提起」ととるかは、‥‥‥受け取る側の自由‥‥ですけどネ。

作成者 ezura

作画〜コンポジット、再考(2)

〜1から続く

ハッキリ言えば、「既に破綻している」のです。「ハコ」の中に要素をぎゅうぎゅうに詰め切ってしまって、色んな箇所が損傷し漏れ出しているのです。

私はもうこの「ハコ」に限界を感じてしまっています。今がかなり辛いのに、今後、どこをどうやっても、今以上にはなりそうな雰囲気はありません。

では、「ハコ」を広げれば良いんじゃないか?…と思うのが、ごく単純な成り行きですが、「以前までは無理して作ってましたが、これからは無理しない為に、数倍の予算が必要です」と宣言して、どれだけ出資者側・消費者側が首を縦に振るのでしょうか?…「中身は一緒、でも値段は数倍」なんて言う状況を、買う側が許容するのか…。なんでもかんでもディスカウントしたがるこのご時世に、アニメ作品「だけ」に特例が通用するとは、到底思えません。

思うに、今のハコの体裁を保ったまま、面積だけ広げようとしても、周りがそれを許容しない為、結局は実現不可能なのです。こんな事を考えると、どうしても暗い気分になってしまいますが、現実を直視すれば、「今のカタチでは、もう、どうにもならない」と言う考えしか浮かびません。

そんな中で、私が考える道は2つ。1つ目は「フィルム撮影時代のスタイルを踏襲した作画偏向型の作品を作る場合は、極度に自動化を推進する」、2つ目は「フィルム撮影時代のスタイルから脱却し、新基準の作品と制作スタイルを確立する」です。ここで優柔不断に「両方の良いとこ取り」をしてしまうと、結局その優柔不断さを突かれてディスカウントに巻き込まれてしまいます。明確に作品個々の制作方針を打ち出して、制作に望む事が肝要です。

2つ目の方針「従来スタイルから脱却し、新基準の作品と制作スタイルを確立する」は、私の数年に渡る最重要な取り組みです。フィルム撮影時代のスタイルをマイナーチェンジした程度では消費者に「新スタイル」をアピールなど出来ません。私の映像開発の要点はまさにこの部分=「コンピュータは撮影台の代用品ではない」にあります。

〜3へ続く

作成者 ezura

作画〜コンポジット、再考(1)

日本のアニメは、作画に重きを置いている作品が多いように思います。故に作画尊重型の制作体制が出来上がるし、実際に作画の技術的難易度・要求度も異様に高いのです。

特に原画・作画監督にかかるプレッシャーは大きく、作品の(根本的・基礎的な)クオリティは自分たちが背負っているという重圧感を常に感じています。この重圧は原画・作監本人自身の感情だけでなく、周りからもそのように求められています。事実、原画・作監を海外蒔きにする作品が稀な事が、その重圧を端的に表しています。

しかし、…です。作画以外の作業がことさらに軽い訳ではなく、クオリティを維持する為の時間は作画以外にも(当然ですが)どうしても必要です。どんなに工程を簡素化しようと、またどんなに労働時間を延長しようと、「最低レベル」の作業時間は必要です。

最低レベル…特にテレビ作品を作業する際は、この「最低レベル」と格闘するハメになりますが、何故「最低」に甘んじなければならないかと考えると、先に述べた「作画偏向型」の構造があるからです。

では、作画の負担を軽くする工夫を施せば良いんじゃないか?…例えば、容易く沢山描けるよう〜例えば40年前の「鉄腕アxム」くらいのキャラ・メカデザイン〜に「仕様変更」すれば、物理的な負担は大きく減少しますが、それを消費ユーザは求めているのかは、甚だ疑問です。私が消費者ならば、「作風がもともと線の少ない、シンプルなデザインである」のならともかく、「作り手が簡単に作れるから、内容を省いた絵になった」のならば、そうした作品に4〜5千円も出費して購入したいとは思いません。

つまり、日本のアニメは「作画至上型」「作画偏向型」によって、その立ち位置を確立してきた〜海外のアニメとの差異を形成してきた〜とも言えます。こうした経緯があるがゆえに、作画に重きを置く体質がある訳ですが、これは作画以外の人間にとって、状況によっては「死刑宣告」的な要素として実体化します。

ジレンマ…です。作画は割愛できないが、他の作業だって割愛できません。

コンポジットの時間が数日間のみ…なんて、コンポジット上のクオリティを守りきれる限度をはるかに超越した状態です。しかし前段階の作画作業を速く上げる為に、遥か昔の「一日に10〜20カットもこなせた」作画レベルに戻す事は出来ません。

〜2へ続く

作成者 ezura

2007/8/27 (月)

スペックだけの知識‥‥

XT250Xとかの「オフロード系ストリートバイク」を検索していると、今でもよく目にするのが、「モタードで林道はキツい」と言うフレーズです。

??…全然キツくないけどなあ。

多分、ロードタイヤを履いている点を「見ただけ」で判断したんじゃないかと思います。つまり、実際には走ってみた事が無く、二次的情報だけで判断している…と言う状態です。

最近、「スペックだけ見て、判断する」人って多い気がするけど、気のせいかな? ネットで情報を収集して、それだけで「解った気になっている」人が、以前より増えたように思うんだけど…。ネットや口コミを単なる情報の一つとして利用するのは良いと思うけど、それ「だけ」で「理解した気」になるのは、何か…浅はかだよネェ。

巨大なゴツ石だらけの獣道や、トライアル顔負けのヒルクライムをする訳じゃなければ、モタードバイクでも未舗装路は充分走れます。実際にD-Trackerで、未舗装の平地はもちろん、草地の土手の上り下りや軽めの泥地を走ってみましたが、ちょっと滑り気味な程度で特に問題ありませんでした。ですから、ごく一般的な林道(奥多摩の林道とか)はほよどハイスピードで走破しない限り、モタードでも楽々と走破可能です。

モタードで林道がキツイ…と言っている人って、選手権レベルのハイスピード走行もしくは嵐の翌日に林道でも走りに行くのだろうか?…そんな鬼気迫った走りをする人って、巷じゃそうそう見ないけどなあ。

一回走ってみれば、モタードで林道をちゃんと走れる事はすぐ解るはず。…余計な事前情報や聞きかじりはオミットして、自分自身の身体で確かめればすぐ解る事…なんですけどネ。

作成者 ezura

2007/8/26 (日)

趣味人、オタク、とか

「オタク」と言う言葉の定義の基礎、…つまり、ファン、マニア、趣味人、オタクを分ける境界線がよく解らないのです。

「ちょっとした趣味」以上のものがオタクだとしたら、私なんかはもう、色んなモノのオタク。バイクは10台近く乗り継いで来たし、園芸もベランダで栽培するには度を越しているし、音楽CDや飛行機関連の収集、楽器・音響機器の設備、コンピュータも山ほど…となると、興味のあるものは全てオタク…な感じです。

ではオタクっぽくなく…とはどのような状態か?…を考えてみると、「少々たしなむ程度で、やり過ぎず」と言う感じ…でしょうか。でもこれは言い換えれば「ちょっと踏み込んだレベルになると、お手上げ」と言う事でもあります。例えばマフラーを交換したバイクに乗っているのに、「僕、2輪車だと、不安定で怖いの」と言わんばかりの運転をするのは、カッコ悪いかなあ…。

また逆に、誰もが「ヤリ過ぎで、アブナい」と感じる状態はどんな感じかな?…と考えると、「他の価値感を認められず、一神教的に自分の趣味に没入している」状態でしょうか。

…なんでまた、こんな話を思考しているかと言うと、ネットでここ連日、「VS(対決)」構造を目にしたからです。

イングヴェイとヴァイ、MacとWin、CanonとNikon…と「如何にも」なVS構造を目撃しました。そこに書かれている論調を見て、「何でこの人たちは、自分の好きなものに絶対的上位を与えられるんだろう」と不思議に思った訳です。もしかして、この人たちは「オタク」?

色々「マニア・オタク」について考えてみた結果、何が一番、自分の中で引っ掛かっているか?…と言うと、一部の「趣味人」に見られる以下のような思考形態・傾向です。

・自分の趣向が絶対的上位である
・排他的=他の趣向・価値感を認めない

上記のニュアンスが数多く表面化した場合、私はその人を「マイナス・イメージとしての、オタク」と感じる様です。つまり、自分の趣味を愛でるがあまりに他を許容できなくなる…と言う状態ですネ。これは言い換えれば、「嫌いと悪いを、同義として扱っている人」です。一歩踏み込んで考えてみると、そのような傾向の人に共通する事は「嫌悪する対象を、実はほとんど何も知らない」と言う構造です。

でもまあ、全ての事に精通する大賢者に成れる訳でも無し、まずは「イメージだけで良い悪いの評価を下さず」が基本だろうなあ…としみじみ思ったのでありました。

作成者 ezura

2007/8/23 (木)

After Effects CS3

‥‥を運用し始めて数ヶ月ほど経ちましたが、「アニメのフィルム風撮影業務」に関してだけ言えば、長所より短所のほうが目立つ状態で、誠に苦しい状況です。

何よりも「いとも簡単にクラッシュする」のが製品版でも相変わらず発生する(クラッシュする理由は大体解っています)のが痛いです。また、7.0からのプロジェクトインポートの遅さもそのままです。低信頼性と言う悪癖は、時間との戦いであるアニメ撮影業務においては、致命傷と言えます。

ただ、私はレンダーオートメーションを大々的に活用しているので、CS3への移行は必須です。7.0以前のバージョンではまだバグも多く、バグを回避するスクリプトを組む必要があるので、「7.0以前のレンダーオートメーションは信頼性が低い」と言う問題を抱えています。‥‥故に、CS3は必須なのです。また「アニメのフィルム風撮影業務」から発展(逸脱?)したコンポジットも数多くこなすので、CS3はどうしても必要なツールとなります。

MacOSX10.5が出て、それとの組み合わせで良くなる‥‥というのは、かなり善意的・楽観的な見通しであり、期待をするだけリスキーです。逆にMacOSX10.5との組み合わせで「一波乱」ありそうな気さえします。

つまり、レース車のごとく、「最良の状態を維持して、ようやく運用可能」となる労力を納得ずくで背負い込む必要がある…と言う状況です。ですから、撮影班内にソフト&ハードウェアのメンテに詳しい人間が不在、かつ、テレビシリーズの撮影メインの場合は、CS3導入はかなり危ういのでは‥‥と思います。

私の場合、自分のワークグループのメンテは勿論の事、ソフト&ハードウェアのコンフィグ、さらには足りないソフトウェアの開発までおこなってきたので、「性能(現状)ギリギリの状態を平常化する」のには馴れてはいるのです‥‥が、今回のCS3はかなりハードルが高そうな感じがします。とにかく「どのようにして、クラッシュしないようにするか」は(今時情けないですが)重要事項です。OS全体の環境保全は勿論の事、After Effectsの設定(シークレット環境設定とか)や、使用方法までも踏み込んで制定する必要性を「ひしひしと」感じます。「ジェット極初期のMe262的な」運用の過酷さを実感しております。

‥‥いやあ、近年、稀に見る「手ごわい」ソフトウェアです。CS3は。

作成者 ezura

2007/8/18 (土)

Appleの「エンターテイメント」ソフトウェアの特徴

日頃、iLifeを何の気なしに使っている訳ですが、他の「エンターテイメント」ソフトウェアと「違う」感触を感じています。その「違い」について色々考えてみました。

ユーザを楽しませると言う状況において、ユーザの「動き」に視点を置いて分類した場合、2つに大別できます。「ユーザは受け取るだけ」と「ユーザも参加する」の2つのタイプです。

Appleは後者の「ユーザ参加型」、つまり「あなたが参加して、このエンターテイメントは完成するのです」と言うスタイルを打ち出している様に思います。「見るだけ」より、「自分も参加して楽しむ」方が、ユーザの遊び心をくすぐるヴォルテージが高いのは言うまでもありません。

Winマシンにバンドルされているソフトウェアの多くは、事務もしくは家電の延長線上のものが多いと感じます。ユーザが値を確定していく状況は、iLifeと変わりはありませんが、それは結局、操作・値の確定が必要だから不可避の行為としてユーザを動員しているに過ぎません。

「ユーザが操作して決定する為の、空白(未決定)項目がある」のと「ユーザを参加させて楽しませるために、あえて『席』を空けておく」とでは、その発想の根本に大きな違いがあります。

iLifeは、そこそこに「センス」を必要とします。…「センス」って言葉は、いけ好かなくて嫌いなんですが、敢えて使っておきましょう。写真配列、カット割り、音源とフレーズのチョイス、サムネール画像選択…など、ユーザにある程度の「選択のセンス」を求めます。ここがミソです。

言い換えれば「選択のセンス」程度の力量でコンテンツを完成させられるのが、iLifeなのです。「基礎技術→応用技術」と言ったプロ同等の力量は必要とせず、あくまで「センス」=「これいいかも」程度の取捨選択でコンテンツを作れるのがiLifeです。すなわち、「プロと同等の技術は必要無いが、選択する際の『センス』は必須」と言う設計です。

「自分なりのセンスで云々」と言うスケベ心をくすぐるのが、iLife…とも言えますね。

ユーザは自分の「センス」でコンテンツが「かっこよく」なっていく様を見て、快感を覚える訳です。…実はその「快感」はひな形でバッチリ仕組まれた供給側の想定内の快感です。

でもまあ、「仕組まれた快感」なんて言い出したら、あれもこれも、ほとんどのものが…と言うような話になってしまいますけどネ…。

作成者 ezura

2007/8/16 (木)

iPhoto、かなり良い

iLifeの「オー・エイト」が届いて、試しにiPhotoを使ってみましたが、これがかなり良く、従来の「画像ファイルブラウザ」とは一線を画すソフトウェアだと感じました。同時に、Appleの現在の立ち位置を、改めて強く感じました。

私がApple製品を見るたびに思うのは、Appleは自社の製品を「事務以外のユーザの琴線にふれるように製品を作ろう」と位置付けているのではないか‥‥と言う事です。Appleに知り合いがいる訳ではないので、単なる憶測ですが、「事務系ユーザはあきらめた」と言う割り切りを強く感じるのです。‥‥というか、誰が見ても、その傾向は明らか‥‥ですよネ。

私はWinXPもMacOSXも使っていますが、XP搭載マシンが趣味のユーザを「本気に全力で」取り込みたいと思っているのなら、少なくとも読んでて淋しくなるようなプロポーションの悪いフォントは採用しないだろうし、iLifeに相当するソフトウェアもバンドルしても良いはず‥‥ですが、実際にそうではありません。事務系業務にヒラギノフォントは必要ないでしょうし、iLifeなんてあるだけ容量の無駄しょうから、当然の成り行きだと思います。「趣味に使うのなら、カスタムはご自身でご自由に」と言うスタンスを感じる訳です。

その昔Appleは事務系ビジネスユーザをつかみそこねて、少しでもシェアを取り戻そうと悪あがきをした時期もあったようです。しかし、現在は「個人的に使うコンピュータ」と言うジャンルにおいて、より良い(と言うか、より周囲から抜きんでた)ソリューションをユーザに提供しようとしているように思います。‥‥つまり、Appleは「事務系ビジネスユーザは逃がしたから」、その代償に「趣味でコンピュータを使うユーザを、できるだけ獲得したい」訳です。

私がMacを使っている理由は、そんな「Appleの台所事情と思惑」と私のニーズがうまく合致しているから‥‥なのでしょう。

そんなこんなを考えるに、Macは事務系業務に使われない方が良い‥‥と逆説的に思いますし、Winは事務系業務を引き受けてくれていた方が良いとも思います。‥‥変な話ですが、Macは今くらいのシェアで充分じゃないかとも思います。Macがシェアを伸ばしたら、「趣味ユーザを狙い撃ち」スタンスが崩れかねません。

iPhotoを使いながら、「Macが1桁のシェアだからこそ、このような野心的なソフトウェアを次々とリリースできるんだなぁ」と、強く感じた次第です。

作成者 ezura

2007/8/14 (火)

ビットレートの壁。今後、おそらく。

フィルムからコンピュータデータ直生成に移行した際の、まず最初の壁は、ビットマッピングを如何にして成立させるか?‥‥でした。事実、私自身の今までの10年のうち、最初の5年間はビットマッピングの知識・経験の蓄積だったように思います。

ビットマッピングを追うと、自ずとビットレートとの相関関係にぶち当たり、都合、その辺の知識も蓄積する必要が生じます。

で、今後の放送事情を見た時、目に付くのが「多様なビットレート」による配信です。つまり、BDやHD DVDがいくら高ビットレートを謳っても、放送による上映ではそこそこのビットレートでユーザにデータ転送される為、「高ビットレート限定の絵作りではNG」と言う現実が見えてきます。「私らの映像はBDもしくはHD DVDで観ないと、絵が壊れます」なんて言う断り書きをスーパーで入れるなんて、みっともないですしネ。決して、BD等の35〜40Mbpsを基準にしてはいけない訳です。

そう言った意味で、AVCHDの「15Mbps」は結構なハードルで、訓練には丁度良いかもネ‥‥、と思います。私が思うに、1920x1080i/15Mbpsで絵を成立させるだけの技量を持たなければ、今後やってけないだろうな‥‥と思います。「自分のパソコンモニタでは奇麗に見えてたのに!」と叫んでも、その声は各家庭には届きません。

でも正直、1920pxの15Mbpsはキツいでしょうね。今日のアニメはその出自が「粒状による点描」ではなく「ベタによる単色塗り」ですから、カメラで収録した実写とはまったく違います。その辺の差異をうまく利用してビットマッピングをコントロールできないと、あっという間に「バンディング」が再発するでしょう。

Panasonic SD3の「15Mbps」と言う仕様をみて、「‥‥なるほど。他業界は『そのように』考えているのか」と思った次第です。「15Mbpsでもアリ」を成立させるには、それ相応のノウハウがアニメのコンポジットにも必要となるでしょう。

‥‥で、全く個人的な話になって、購入するカメラはAVCHDかHDVか‥‥と悩むのですが、コーデックが違うから単純にAVCHD/12〜15MbpsとHDV/25Mbpsの数値差で計れるものでは無いですし。‥‥う〜む。

作成者 ezura

HD混沌

HD関連のハード・ソフトが混沌としている最中、現行製品に手を出すのは中々にリスキーだ‥‥とは、思うのです。

HD DVD/BDにしろ、HDV/AVCHDにしろ、どっちを選んだら良いものか、かなり悩みます。‥‥まあ、買うとしても今年末なので、まだ選択までの猶予はありますが、ビデオディスク(VD…。私は運良く、VDには手を出しませんでしたが。)のようにほんの数年で「無かった事に」なるのは悲しい。私はMDのマルチトラックレコーダを持っていましたが、データMDなんて今じゃ入手は難しいでしょう。

iMovie08がAVCHDの1920読み書きに対応すれば、最有力候補はPanasonicのSD3あたりになるんですが、如何せん現状では非対応のようです。いつか対応するんじゃないか‥‥と甘い予測をしていますが、どうしてもダメそうだったら、1440x1080のスクイーズでも良いかなあ‥‥とも思います。CanonのAVCHDは確か1440x1080:スクイーズ収録(HDVと同じ)だったような。

ちなみに、テープ媒体=HDVはできるだけ避けたいのです。非ランダムアクセスはもうイヤ!‥‥なのです。小学生の頃から、カセットテープの開腹手術とかはしていましたが、どうしてもテープは好きになれないのです。すぐに目的地点にジャンプできるレコードのほうが好きでした。‥‥何よりも、DVの華奢なプチテープがこれまた華奢でプチな駆動装置にローディングされる様は、「どうか、今回も何事も起こりませんように」と祈るばかりです。

‥‥しかし、今、「HD」と呼ばれる民生機器の種類‥‥否、フォーマットの混沌は、スゴいですね。

私のような職種だと、画面寸法、コーデックやビットレート、記録メディアなどに多くの関心を持つのですが、一般の‥‥つまり子供の運動会を撮るような人たちには、どのように受け取られているんだろうか?? 「ややこしい話をゴチャゴチャと」としか思われていないように予測するんですが‥‥。

作成者 ezura

2007/8/13 (月)

iLifeとiWorkの08を購入

‥‥しました。

ここ最近の「HDコンテンツ作りの研究」関連に対するテンションは、「色々考えたし、状況を見ていたけど、やっぱりHD DVDはやめようかな‥‥」と言った心持ちで落ち着いています。いくら現行のオーサリングツールや物理ドライブがHD DVD Videoを生成できたところで、先行きがどんどん狭まっていく機器に自腹を割くのは痛いな‥‥と思い始めたからです。もちろん、今後HD DVDが盛り返す事があれば、それはそれで選択の幅が広がって良いのですが、現時点では普及価格帯プレーヤーの状況1つとっても、どうも選択する気がおきないのです。

今の私のテンションは、HDV・AVCHDを記録媒体にしてしまおうか‥‥と言うトコロです。HDVはスクイーズ収録だし、1920pxのAVCHDは互換性がまだまだ‥‥と言う問題はもちろん承知してますが、(うまく使えば)極小ビデオデッキとして使えるのは勿論の事、普通にビデオカメラとしても使えるので、総合的なリスクは「HD DVD運用」よりも少ないと感じ始めました。私にとっては何よりも、(例えビットレートがゴージャスでなくても)AVCHDの存在がでかいんですよね。

‥‥で、話は本題に戻ってiLifeとiWork。特に新型iMovieは(現時点不十分ではあるようですが)AVCHDへの対応を謳っているようで、現在の私のニーズに適合しています。‥‥Panasonicの1920のAVCHDに対応できてない‥‥との情報はあるのですが、私としては、AVCHD運用を当初から視野にいれたツールを「できるだけ安価に宅内のマシン群に装備したい」と言う目的があるので、都合、iLife08のファミリーパックの購入となった次第です。

うち(自宅)のマシン群でiLife08の全てをまともに動かせるのは、結構限られてくるので、発売されてもすぐには飛びつかず、むしろ購入を躊躇してたんですが、HDV/AVCHDの運用に頭を切り替え始めた事もあり、5ライセンス付きのファミリーパック購入とあいなりました。

うう‥‥、また金が飛んでった‥‥。

*ちなみに、ファミリーパックは企業や業務使用では使えません。

作成者 ezura

盆に色々な雑事が重なる

‥‥ので、かなりあっちこっちに動き回っています。

でもまあ、(世間は)今日から盆休みだから、都心は空くのかな? …多少は動きやすくなるかも知れませんネ。

撮影エフェクトだけでなく、作画やら、スタンプの発注やら、作業システムの再構築やら、保険関連の処理やら、講義の準備やら、ジャンルをクロスオーバーした処理項目をこなすのに、頭を切り替えるのが大変です。

* * *

ちなみに図は、今回のスタンプ発注のついでに作ったezqnetスタンプです。使い道は今のところ特に無いんですけどね‥‥。(図のマスコットキャラクター「いぬくん」を知っている人は、1990年後半にアイジーに出入りしていた人くらい‥‥ですね)

日頃、データデータと言ってるわりには、こうしたアナログなツールの有用性も感じておるのです。

作成者 ezura

2007/8/3 (金)

プリンタ、スキャナ

紙に印刷…つながりで、プリンタとスキャナについてです。厳密なプロ制作環境の場合は、たっぷりと高価なモノを使えば良いですが、個人ではそうはいきません。私も自己研究=つまり「自腹の環境」を用いた研究をする事が多いので、安くてもちゃんと使える機材の導入は重要なのです。

プリンタは先にも書いた通り、MP950とHL-2040です。

CanonのMP950は既に後継機種が発売されているのですが、性能は必要充分で、プリンタの他、スキャナ、コピー機などにも使える多用途機です。簡易印刷の速度が速いですし、写真印刷もプレゼン資料に使えるクオリティを保持しています。

HL-2040はブラザーの低価格レーザープリンタですが、以前所有していたCanonやOkiの低価格レーザーより全然性能が良いです。しかも、実売1万円台前半。最適なフォントを選べば、インクジェットより遥かに奇麗な印字を実現でき、カッチリとした閲覧用文書を作る事ができます。

その他のプリンタは、A3ノビ印刷用のPM-3000Cが半ば隠居状態で置いてある感じです。

ドキュメントスキャナは、PFUのScanSnapが良いかと思っています。所有はしていませんが、職場で使っていて実に快適なものですから、いずれ購入したいと思っています。線撮等はScanSnapと専用スクリプトで効率良く作業しています。ちなみにPFUはHappy Hacking Keyboardで有名ですネ。

問題は、フラットベッドスキャナ(以後FBスキャナ)です。

普及価格帯のFBスキャナは、どれも遅い!…SCSI時代より遅くなっているように感じるのは、気のせいだろうか?…計測した事が無いので、解りませんが…。

大量にスキャンする予定があるので、今のCanon 5000F(2002年モデル)をもっと高速なものに換装しなければ…と思って検索してみたら、さほど速度は向上していないようで、速度重視の私としては、買い替える意味を成しません。CanonのWebページの「性能比較図」の中に登場する比較対象は、如何にも低速なUSB1.1時代のスキャナばかりで、お話になりません。

SCSIスキャナを倉庫から引っ張り出してきて…と考えるくらい、今のFBスキャナの速度には不満があります。

昔のSCSIスキャナを復活しても良いんだけど…、運用が繁雑になるからなぁ…。

作成者 ezura
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