2008/5/12 (月)
商店街の現在、カッパピア、娯楽の多様化
私はデパートやコンビニよりも、商店街を好みます。昭和40年代の人間だから‥‥かも知れませんが、各店舗のバリエーションを楽しみながら、日ごとの買い物をするのが好きなのです。
‥‥しかし、「好きなのです」と言うよりは、「好きだったのです」と書くほうが適しているかも知れません。なぜなら、私の住んでいる街の商店街は随分と衰退してしまって、商店「街」とは呼べなくなっているからです。最後に商店街で買い物をしたのはいつの事だったか‥‥も忘れてしまいました。
衰退の原因はいくつもあるのでしょうが、私が実感するのは、「選択肢の多様化」です。新手の競合に客を奪われ、衰退せざる得なかったのだと思います。
現在は、スーパーマーケットやデパートは言うに及ばず、幹線道路沿いの超大型スーパーマーケット、さらにはネット通販まで存在しますから、商店街の競合相手はかなりの種類にのぼります。「あえて、商店街でモノを買う理由」が無ければ、「品揃え豊富、安価、スピーディ」な方向へと客が集まるのも仕方ない事と思います。
客足が落ちて衰退‥‥と聞いて思い出すのは、「カッパピア」と言う、既に閉園してしまった遊園地です。閉園の数年前に初めて訪れたのですが、その衰退ぶり、寂れぶりはかなりの状態で、客は自分たちしかおらず、客が乗り物券を買ったら機械を起動する‥‥と言う、非常に辛辣な運営状態でした。‥‥実を申しますと、「寂れた遊園地」の取材でカッパピアに訪れたのですが、狙いは(悲しいかな)ドンピシャリ‥‥でした。
カッパピアのWikipediaを読むと、閉園までのあらましが簡潔に語られています。その中で目にとまった語句が、「娯楽の分散化」です。‥‥たしかに、現在はことさら遊園地に行かなくても、娯楽はそこかしこに沢山あります。娯楽の分散化・多様化に伴い、カッパピアから客足が遠のいていったのは、ごく自然な成り行きにも思えます。‥‥ちょうど、商店街から客が1人2人と消えて行った様に。
娯楽の多様化。これは他人事か?
アニメも同じ脅威に晒されている‥‥と言うよりは、既に多様化に飲み込まれてから、随分と年月が経っています。ことさらアニメを見なくても、現在は他に楽しみがいっぱいあります。確実に私の少年時代とは状況が違います。私の子供時代は、16:00から20:00までの時間帯は必ずどこかでアニメを放映していたものですが、今はどれだけ?‥‥かなり寂しい状態です。
では、人々はおしなべて、商店街や遊園地、さらにはアニメを忌み嫌う様になったのか‥‥と言うと、そうでは無い様に思います。今でも賑わう商店街もあれば、うんざりする程の行列ができる遊園地も存在します。
多様化した事により、今までのフォーマットが全てダメになる‥‥のではなくて、経営側の状況・手腕も大きく作用している様に思います。
地元の商店街が事実上消滅する寸前まで、私がよく足を運んでいたのは、とある乾物屋さんです。乾物屋さん‥‥と言っても、商品のバラエティは豊かで、手作りのお惣菜やスーパーでは見かけない品々、値段もそこそこ安く、入れ替え商品も用意してあり、買い物に行くのが楽しみだったのです。数年前の火事で店じまいしてしまったのですが、当時は2日に1回は買いに行ってました。
その乾物屋さんに比べると、コンビニがどれほど色褪せて見えていた事か‥‥。私はその乾物屋さんに「そこでしか手に入らないもの」または「他では手に入りにくいもの」を求めていたのでした。
一方、単に惰性で経営しているようなお店にも遭遇しました。1年近く期限切れした商品を、コンビニよりも高い値段で平然と並べているのを見た事があります。恐らく、店のオジサンは、自分の店の商品を自身で食す事なんて無いので、「我が店の荒廃ぶり」に全然気付かないのでしょう。「商品さえ並べていれば売れた時代」の感覚のまま経営しているようなお店は、多様化により淘汰されても、いたし方ないのでは‥‥と思います。
で、アニメ。現在は「アニメさえ作っていれば、子供が何でも見てくれる」時代では無い…でしょう。
私は、作画&コンポジットの人間ですから、その立場に置き換えて考えてみれば、今、何を準備し、どのように取り組んで行くべきか‥‥は解ります。私が業界入りした20数年前と同じ方法のまま=今まで通りに作画して、フィルム撮影台の互換技法でコンポジットしていたら、未来は確実に、廃れた商店街や遊園地と同じ末路を辿るだろう‥‥と思っています。
ある意味、「不遜」になってしまったアニメ業界。そんな中、少なくとも私自身に関して言えば、「芸を売り買いする」基本に立ち戻って、今後の25年を行動しなければ、生き残れないと思っています。その取り組みを怠った場合は、‥‥まあ、体力が落ちて落ちぶれて喰えなくなって、The End‥‥でしょうネ。

