2009/3/2 (月)
Blu-rayの画質について
Blu-rayについて、普及周辺の雑感とかは書いてきましたが、画質そのものについては書いておりませんでした。私はレンダリングした非圧縮の画像ファイルを毎日のように扱う立場の役職ですから、Blu-rayのような、高圧縮技術に基ずく映像がどのように変化するかは、非常に興味のあるところです。
今まで、何作品かBlu-rayの映像チェックに立ち会いましたが、映像そのもの品質は非常に高く、むしろ、周囲の状況〜テレビの性能とか部屋の照明とか〜が、総体的な品質を大きく上下させるように思いました。
Blu-rayの画質は、制作スタッフが映像をチェックする際に用いる映像ファイルとほとんど変わらない品質を有しており、ずばり「何もかも見えてしまう」ほどクリアです。線画スキャンの調整の具合、スムージングプラグインの特性など、舞台裏の些細なディテールまで克明に伝達してしまう「驚異(脅威?)」的な性能を有しています。「チェックルームから、ご家庭へ」‥‥そんな感じです。(高品質の映像をBlu-rayにパッケージできるは、当然の事ながら、Blu-ray担当の映像技術者さんたちの成果あって‥‥の事です。事情に薄い人は「Blu-rayだと何でも奇麗になる」と考えやすいのですが、技術者あっての画質です。)
従来の知識‥‥例えば、テレビで放送するとゴマけていた‥‥とか、劇場でフィルム上映すると馴染んだ‥‥みたいな「ある種の保険」は無くなります。出力した画像の品質そのものが、まんま、お茶の間に届けられる‥‥と言っても過言ではありません。
これは「多少荒くても、ちゃっちゃと作って、さっさと完成しちゃえ!」と言う切羽詰まった制作状況には、非常に不利に作用します。荒さはそのままの状態でユーザに伝わってしまうからです。もちろん、アップコンのボヤけもそのまま伝わります。
SDの時の「誤摩化し」手法は、HD/Blu-rayにおいては「誤摩化し手法が淡々と上映される」に過ぎません。非常に冷静に状況を映し出します。粗を隠す為にディフュージョン的な効果をさっくりのせると、その「さっくりとのせました」感がそのまま映像に現れますし、何よりも「変にボケて見える」ように受け取られてしまい、基本的な品質が低いと言われてしまうかも知れません。「とは言ってもやっぱり、誤摩化しが必要な時だってあるだろう」と言う場合は、「今までの何枚も上手の誤摩化し」が必要になります。この点は、よくよく注意した方が良いでしょうネ。
そうした「誤摩化しを許さない」高画質に対して、私自身、最初は「凄いけど怖い」と感じていました。‥‥が、見続けているうちに逆に「それだけの性能を持っているのなら、その性能を使いこなせば良い」と思う様になりました。考えてみれば、今まではどれほど高品質に画像をコンポジットしても、SDサイズ・NTSC準拠の際にガクンと情報が失われていました。奇麗に作っても、多少荒く作っても、SDコンテンツになれば皆同じ‥‥になってしまうような状況だったのです。しかし、「ちゃんと作れば、ちゃんと伝わる」という土台があれば、「良いものを作ろう」とする創作意欲が湧いてきます。
新技術を上手く活用できないばかりか、制作上のハンデにしているようでは、未来は無いんじゃないか‥‥と、しみじみ感じた次第です。
ちなみに、Blu-rayのような高品質映像を、家庭でじっくりと、プロライクに堪能するには、テレビの性能も欠かせません。テレビを購入する前に製品の取扱説明書のPDFファイル等を入手して熟読し、「色温度設定」や「オートゲイン入/切」「モーション補完入/切」などの機能が付いているか、事前に確かめた方が良いでしょう。最新型テレビの「先進機能」が、反って映像に意図せぬ悪影響を及ぼした際は、機能をOFFにして対処します。ただし、中には「機能は常時ONでOFFにできない」テレビもありますので、買う前によく調べて買った方が後悔しなくて済みます。実写に効果のある機能が、2D/3Dアニメーション作品に適するとは限らないのです。

