2009年9月1日(火)
国際交渉とマッチポンプ
民主党がこれから主導することになる日本の安全保障政策には、国際交渉が重要だ。これは、国防のパートナーにアメリカがいるからだ。アメリカの日本対策は、微に入り、細に渡っている。
第二次世界大戦前から戦後にかけて、米国は日本を攻略するために、日本の社会や文化や政治、気候風土を細かく調査した。それは、大戦後の日本の占領統治に大いに生かされたのである。
ルース・ベネディクトの『菊と刀』は有名であるが、現在ではこれは、日本人に日本文化とはこういうものだと言い聞かせるために、戦略的に表わされた著作であるという学説があるのだ。それは、日本人へのアメリカ文化への教化政策の一環であると言うのだ。
それほど、アメリカの日本対策は、徹底していると見たほうがいいだろう。そうであるならば、今、日本とアメリカの軍事同盟関係の基本である安全保障の枠組みに対する交渉では、日本の言うことをアメリカがすんなりと受け入れることは無いと、考えなくてはならない。またそれは、今までの自公政権が、アメリカの年次改革要望書などで提示された米側の要求に、唯々諾々と応じてきたからである。これは、今後の対米外交を非常に困難にするであろう自公政権の負の遺産の一つである。要求を強力に主張してプッシュすれば、日本は米国に従うという図式が出来上がっている。
在日米軍基地の問題や軍事設備費や駐留米軍経費の負担の問題などでもそうだ。これにはアメリカは、マッチポンプと言う構図を駆使しても、日本に譲歩を迫り、米国の言い分を呑ませることに腐心するであろう。また、日本の内外のメディアに働きかけて、自国の利益を守ることに懸命になるであろう。そして、有力国会議員や政府要人、有力経済人などへの説得工作や個人的切り崩しもあるであろう。
この際、日本には「マッチポンプ」の言説には載せられない冷徹な判断力が必要だ。他国による軍事的脅威を煽られ、日本がいつまでも自国の国防力を不十分なままで、アメリカ依存型の防衛力に頼りきっているのでは、日本は、国際社会における主権国家とは言い難い。これでは、日本の安心、安全は心もとないのだ。
現在、日本は東シナ海の国の領有権が及ぶ実質的な海の国境(EEZライン)付近を、中国側に実効支配されている。中国はここにガス田の掘削基地を設け、天然ガスを採掘し続けているのだ。戦後60年も過ぎてから、このような他国からの実質的な領土、領海侵犯を許すことになった背景は、どこにあるのかを考えてみる必要がある。
日本の米国との軍事同盟関係は、米国の世界戦略により、影響を受けるのである。つまり、米国は、日本が他国から侵略されても、いつでも日本を守ってくれるとは、限らないのである。特に日本と中国との紛争については、今後も米国はダンマリを続けるだろう。なぜならば、今のアメリカには、中国を敵に回せないほどの中国への経済的な依存関係があるからである。
今、大量発行済みの米国債の最大の保有国は中国なのだ。もし、アメリカが中国と敵対関係になり、中国が、その損失を省みずに、大量に保有している米国債を世界の市場に放出したら、米国の金融政策と経済政策は瞬く間に破綻するだろう。この構図は、アメリカは、中国に核兵器を保有されている以上に危機的な対アメリカ戦略兵器を保有されているのも同然の状態にあると言えるであろう。
すなわち、日本には、速やかに独自に自国を守る防衛力の整備をすることと、国際関係の再構築をすることが必要であるということである。自衛隊の防衛装備を、国防力を完璧にするという観点から整える必要がある。また、韓国や東南アジアの国々やオーストラリアなどとの国際連携が必要であり、強い外交交渉力が求められる。つまり、日本は、アメリカとの軍事同盟関係に夢を見ていられない厳しい現実が、国際関係として厳然と存在している事実を認識し、万全な安全保障対策をすることが必要なのだ。


