Sunday, July 26, 2009
アイスクリーム売りの憂愁
先日、子どもの通う保育園で夏祭りがあり、役員の私はアイスクリーム売りを仰せつかった。
久しぶりにものを売る仕事でなんだか楽しい気分だった。それが、起こるまでは。
アイスクリームを買いに来た女の子が、手を滑らせて財布の中の小銭を地面にばら撒いてしまった。かわいそうに。拾ってあげなくちゃ。私がしゃがむと、同じようにしゃがみこんだ男の子がいた。小学2、3年生だろう。ああ、親切に拾ってあげるのね、と思ったのだが、彼は地面から何か拾うと手をそのまま自分のポケットに入れてしまったのだ。
−え?
今思えば、「あ、お兄ちゃんも拾ってくれたのね、ありがとう」とか、「こらぁ、今見てたぞぉ」とか気の利いたことを言えればよかったのだが、そのときの私はあまりのことに固まってしまい、ただ彼を見つめることしかできなかった。
やがて、彼も私の視線に気が付いた。目がおどおどしている。
−見てたよ。それ、ちゃんと返しなさい。
視線で訴えてみたが無駄だった。彼は私から困ったように目をそらして、雑踏の中に逃げ込んでいったのだった。
私の母は一時、小さなスーパーのレジ係をしていたのだが、帰ってきてその日の出来事を憤慨しながら話してくれたことがある。
シズエちゃん、という女の子だった。近所の子で、名前も知っていた。その子が、ほんの少しの野菜とたくさんのお菓子をカゴに入れてレジに持ってきた。ずいぶんたくさんのお菓子を買うんだなぁ、と母の印象に残ったという。しばらくして、シズエちゃんの母親がレシートを持って怒鳴り込んで来た。
「子どもにお使いをさせたんですが、レシートに買ってもいないお菓子が打たれてます。どういうことですか?」というのである。母は驚いて、いえ、シズエちゃんはお菓子もたくさん買っていきましたよ、と言ったのだが、母親は「いいえ、この子は野菜だけ持って帰ってきました。レジのおばさんが勝手にやったって言ってます。ひどいじゃありませんか」。
冷静に考えると、この状況で自分の娘ではなくお店の人を疑うというのは、母親のほうもどうかしている。とにかく、母はシズエちゃんに、「シズエちゃん、おばちゃんの目を見て。さっき、ポッキーとかいっぱい買ってたよね。どうしてそんなう嘘つくの?」と必死で語りかけたのだが、シズエちゃんは黙って下を向くばかり。結局上司が「もういいから」とお菓子の分のお金を返してしまったのだそうだ。
母は今でも言う。シズエちゃんはどんな大人になったかしらね。
子供の小さな悪意。それがことさら恐ろしいのは、やっぱり、「自分の子供たちがこんなことをしたら」という思いがあるからだろう。母にも「自分の子に限ってありえない、とは思わないこと。どんな子にもありえることだよ」と言われた。
その時、私は過不足なく息子たちを叱れるだろうか。正しく導いてやれるだろうか。親としての力量の問われる場面だが、そんな場面に出くわさずに済むことを祈らずにはいられない。

