2012/5/4 (金)
食器パラダイス 11/12/05
RN : ロクサンまさらゼ━━━━━━━━ット!
住所: 栃木県足利市
年齢: 56歳青年
食器パラダイス
今56歳の私。大学は遠く名古屋の夜間の福祉系の大学に進学し、
昼は無認可の福祉施設で非正規職員として働いていました。
学費は年に二度、両親に工面してもらっていました。
兄弟姉妹が家を出て独立し、両親が寂しそうにしていたから
三十近くなってから私は実家に戻りました。
食卓には古風な中華風の小さな丼や木で出来たようなお椀など、
小さい頃とは違う食器が使われていました。
10年近く家を留守にしていたので、食器が昔と変わるのは
別に気にならなかったので、そのことは話題にもなりませんでした。
中華風の食器のたぐいは、割れたり欠けたりしながら、
スーパーやホームセンターで買った他の食器に切り替わっていきました。
古びた中華風の食器の最後の1個が割れたのは私が40を過ぎ、母が75を過ぎた頃でしょうか。
母に尋ねました。
「この手の中華どんぶりって、どこで買ったの?」
私が夜間大学に進んだ頃の話が出てきました。
当たり前のように学費を両親出してもらっていた俺。
両親はその金のためにアルバイトをしたり、
ミシンをふんで手作りのものを作り、売り歩くおばちゃんに卸して収入をえたり、
俺の知らない処で金の苦労をしていたのです。
病院の配膳係として働いていた母、
休みの日には、病院の先代の院長先生のお宅の家事のお手伝いに行っていたそうです。
なぜそんなに働くのか尋ねられた母、
父が若い頃から身体が弱かったことや私の学費のことなど話したそうです。
そうしたら、その日の帰りに、
おお奥さんが押入れから木の箱を取り出して、
「困った時に役だててね」って下さったということです。
その木の箱に入っていたのが、あの古びた中華風の丼や木の椀だったというのです。
なんか、客観的にみて、
使わない食器をおすそ分けしてくれた
というより、大先生ご夫婦の、他の意図を感じたのですが、
母はまったくそんな受け止め方はしていません。
普段使っている食器が割れたり欠けたりするたびに
あの木の箱をとりだして使い始め、
割れたら取り替える。
そうして使ってきたというのです。
もう、確認の手段はありませんが、
あの揃いの中華食器、
我家の経済には役に立たつのではなく
食卓の役にのみ立ったのかも知れません。
ちなみに私の学費は、最後は
叔父に建て替えてもらって、
月賦で返したそうです。
笑うに笑えない、
泣くに泣けないえぴそーどですが、
母がなくなり、
自分の身体が思うようにならくなってから思い出してみると
とても可笑しく、涙が出てきて止まりません。
