2009年10月24日(土)
デスメタルの夜
バンド編成で演奏をしている。
客席は暗くてよく見えないが、小学校の体育館くらいの広さはありそうだ。
僕はボーカルで『あさっての新聞』という自分の曲を歌っている。
客席の反応は今ひとつだ。
もともと盛り上がるような曲ではないんだけど。
そのうち周りのメンバーたちの演奏が速く、激しくなってゆく。
僕もそれにつられて速くなる。
お客さんたちも演奏のスピードに合わせて体を動かし始めた。
演奏はいよいよ激しくなり、デスメタルと化してゆく。
僕もいつの間にかオリジナルとは全く違う歌詞を叫びだしていた。
「三重県○○市の〜!○○郡○○町の山林で〜!
当時高校3年生だった○山○子18歳が〜!
惨殺死体で発見された〜!」
こんな歌を歌いたくないのに、自分で自分を止められない。
演奏はこの上なくヒートアップし、客席は地獄のように盛り上がっていた。
自分の中のもう一人の自分が目覚めてしまったと僕は客観的に思っている。
作成者
センダタクシ
: 2009年10月24日(土) 13:43
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2009年10月11日(日)
ギリギリ・アストロノーツ
国際宇宙ステーションでの任務のため、このたび10名の宇宙飛行士が選ばれた。
僕は最後の最後、10人目というギリッギリのところでなんとか選ばれていた。
この数年間、滅茶苦茶に頑張ったという記憶もないが、そこそこに頑張ってきたような気はする。
出発前最後のミーティングのようなものが開かれる。
宇宙飛行士OBの教官が宇宙ステーションでの任務について話している。
内容は船外活動に及んだ。
船外活動は選ばれた宇宙飛行士のなかでもエリートだけに許された花形任務であるらしい。
僕の左に座っている、いかにもいい加減そうな同僚が、
「おい、センダ!自分も船外活動をしてみたいって言ってみろよ。ダメもとでさ。」
と、言ってくる。
しばらく無視していたのだが、あまりにしつこいので僕は思わず手を挙げていた。
「あの、私も船外活動をしてみたいと思っているのですが・・・。」
「お前が?」
「はい、できればですが・・・。」
教官はすかさず呆れた様に言う。
「お前はな、一番最後にギリギリ選ばれた人間だぞ。いわば補欠的な存在だ。宇宙に行けるだけでもありがたいと思え。以上!」
僕は同僚に向かって、
「お前のせいで教官ににらまれたじゃないか!」
というが、同僚は急にまじめな顔をして僕のことを無視するのだった。
宇宙に行ってからもこいつには悩まされそうだ、と憂鬱になった。
作成者
センダタクシ
: 2009年10月11日(日) 11:44
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2009年10月3日(土)
アニメのタイトル
今の仕事(医療系機器販売)の関係で、機器の展示会場にいると、前の仕事(テレビアニメ製作会社)の頃の同僚から電話がある。
「今度の○○さんが絵コンテ描いてる回のタイトル、教えてください。え、わからない?だったら調べて○○さんに伝えてくださいね」
元同僚は一方的に電話を切ってしまった。
アニメ会社を辞めたのは3年も前だし、いま何のアニメを作っているのかも知らない。
ましてや特定の回のタイトルなんてわからないのだ。
しかし元同僚の声は非常に切迫しており、僕はなんだか居たたまれなくなって、あてもなく展示会場の色々な企業のブースへ行ってはタイトルについて尋ねてまわった。
だがもちろん何の情報も得られないのだった。
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センダタクシ
: 2009年10月3日(土) 14:38
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2009年10月1日(木)
月面で月蝕
騒がしい喫茶店にいる。
誰かを待っている。待つ間、今夜あるはずの月蝕のことを想う。
月の面積が半分ほど隠れる部分月蝕だ。
フッと周りの喧騒が遠くなり・・・
僕はもう既に月面にいる。
広大な白い荒野が広がっている。
時はまさに月蝕の途中であった。
数十キロも離れているであろう地平から、闇が(地球の影が)早くは感じられないが着実に忍び寄ってくる。
そしてああ、今しも暗闇が僕を捕らえる!
完全な暗黒に包まれて、生と死とを瞬間に経験したように思った。
気付けばまた僕はこの星の、地球の場末の喫茶店にいる。
「いま、月にいたんだ。月蝕の真っ最中だったんだ」
いつの間にか目の前にいる女の子に告げると、彼女は当惑したように笑った。
作成者
センダタクシ
: 2009年10月3日(土) 14:34
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