モルセラのジオログ

古川柳と現代川柳のご紹介です。

2006年7月28日(金)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。




課題吟

鵜飼蟻朗編「番傘新人秀吟抄」番傘川柳友の会
(その4)

     入場料払ってサルにからかわれ
     人間に飽いたかサルは背をみせ
     飛ぶ蝶へサルも眠たい目を細め

     よい意味のライバルですと逃げておき
     音なしのかまえライバル意識する
     ライバルを意識した日の靴光る

     兄弟のけんか寝言へまだつづき
     笑われて寝言キョトンと起きあがり
     寝返りをうって寝言はそれっきり

     午前二時急場に頼る置き薬
     痛みどめ効いてきたのか子の寝息
     ストローで飲み新薬はうまい味

     ごあいさつなどと女将の請求書
     里帰りもうあいさつが他人めき
     あいさつの仕方もそっくり母に似る

     代読がとちり空気をやわらげる
     重苦しい空気の中へ医師が着き
     首切りは出さなくてすむ社の空気

     電柱を削って通る田舎バス
     行先のちがうバスだけよく通り
     席かえた方へまた日のあたるバス

     友だちを連れてカギっ子うれしそう
     よしきたとすぐとんで来る友がおり
     友だちのようにある日を老夫婦

     参観日男二人がすみに立つ
     男一匹たかがハンコに保証され
     赤い爪おとこごころをもう見抜き

     野良犬が先に見つけた野犬狩り
     犬好きがわかった犬の甘えよう
     踏まれてもよいほど犬はうれしがり

     これもコツ客を叱ってはやる店
     商売のすきな女の苦労性
     商売がしんから好きな低い腰


   昭和40年代の懐かしい言葉や風俗も詠まれています。

作成者 モルセラ : 2006年7月28日(金) 17:08 [ コメント : 0]

2006年7月20日(木)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。




   課題吟

   鵜飼蟻朗編「番傘新人秀吟抄」番傘川柳友の会
  (その3)
     
     頼りない地図へメーターまた上がり
     二次会のタクシー代は忘れられ
     タクシーにパントマイムで断られ

     グリンピース カレーライスへおぼれそう
     陳列のカレーは肉が入れてある
     カレーしか作れぬ娘くれという

     ストライキ会社を鬼のように言い
     私鉄ストあやまるビラも用意する
     ていねいな貼紙出してスト妥結

     歌手になる夢がマイクへいい度胸
     豆歌手の媚が大人をバカにする
     再起した歌手の化粧がよく目立ち

     ポストまでつっかけて出る女ゲタ
     抱いた子が入れる夫へ出す便り
     ポストから先をくわしい地図にする

     文楽で見れば巻紙色っぽい
     巻紙にすらすら明治生きている
     元どおりひだが合わない包装紙

     お祭りがすめば神様また孤独
     十円で神を味方にしたつもり
     神様は手遅ればかり頼まれる

     ブラジルへ写真のあとを追って嫁き
     フイルムのあと一枚を母に撮り
     炭鉱の裏をえぐった土門拳

     産声をいまかいまかと湯はたぎり
     聞かずともよし湯加減の村田調
     もらい湯のついでテレビも見て帰り

     赤ちゃんへきちんと帰る靴の音
     赤ちゃんの仕事泣くだけ泣かしとき
     赤ちゃんのとこでこらえる満員車

     強がりを母の便りは叱りつけ
     強がりをいっても寡婦に淋しい日
     強がりをいうなと友は貸してくれ


   昭和40年代は高度経済成長時代でした。

作成者 モルセラ : 2006年7月20日(木) 22:22 [ コメント : 0]

2006年7月17日(月)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。



   課題吟
  
   鵜飼蟻朗編「番傘新人秀吟抄」番傘川柳本社 昭和41年発行
                     番傘川柳友の会
   (その2)

   綿菓子に幼き日あり夏祭り
   お御輿を裸で二階からのぞき
   団地の子遠く見ている夏祭り

   もうこりた筈が取り出す登山靴
   ヤッホーがくたびれて来た六合目
   せせらぎを添乳ぐっすり眠る山

   町にゆくことがうれしいお約束
   町の子にここの広場も柵を張り
   町中の噂の中に店を閉め

   合鍵をあずける人がまだ出来ず
   酔うた手にじれったいもの鍵の穴
   鍵一つ手にひんやりとして孤独

   父の文句母の書体で来た手紙
   腹立ちが読める手紙のいんぎんさ
   ラブレターポスト大きな音で受け

   駅でフトどこかへ行ってみたくなり
   そこまでのつもりが駅に来てしまい
   乗り遅れ駅夫そしらぬ顔で掃き

   妹の気ままを許すひな祭り
   子はみんなテレビに向いてひな祭り
   ひな祭り今日両親に合わせる日

   初恋の人の夢みた倦怠期
   夢に見た母の一言聞きもらし
   先生の夢に出て来る愚鈍な子

   母だけが気づく娘の今日の顔
   サンキューと母がみんなを笑わせる
   母の目を背に参観へ手を上げる

   菓子ばかり食べて見事な黒田節
   お茶席の菓子を見つめてかしこまり
   さようならうしろで菓子を包む音


      課題吟の「課題」を推測してください。

作成者 モルセラ : 2006年7月17日(月) 10:14 [ コメント : 2]

2006年7月15日(土)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。





   課題吟

   鵜飼蟻朗編「番傘新人秀句吟抄」番傘川柳本社出版
                 (番傘川柳友の会)
   この選句集は月刊「番傘」の誌友(友の会会員)が
   昭和36年から昭和40年までに「番傘」え投稿した課題句
   から番傘同人が選句した新人の秀吟集です。
   五十課題の各課題句より私が三句づつ選句しました。
   
  (その1)

   出発のとき本当のことを言い
   出発の言葉少なく握手する
   家があり次第迎えに来ると発ち

   苦労してみるかと父が折れてくる
   ご苦労のひと言聞いて気がほぐれ
   親の目に苦労知らずの子が揃い

   子にあまい罪を夫婦でなすりあい
   世が変わり良薬口にあまくなり
   この通りあまいと薬のんだ真似

   打ち明けてからの夜風は胸でうけ
   北風に向かいほのかな酔いを知り
   隙間風くしゃみしたのが閉めにたち

   仲裁も一緒にどなる口げんか
   口げんか女の方が泣いてケリ
   口げんかゆうべの愚痴がのこる靴

   牛乳の届く音から妻の朝
   牛乳の瓶を洗っておくしつけ
   牛乳を嫌いで通し母達者

   呼出しの声貸してやる赤電話
   赤電話声をおとして金のこと
   赤電話悪友代わり代わり出る

   パラソルが乙女心のままに揺れ
   視線ふと感じパラソル斜にさし
   パラソルが街いっぱいの初夏にする

   時刻表と地図でわが子の旅を追い
   旅馴れたいびきが憎い寝台車
   新婚の字まで寄り添う旅便り

   雨の日もいいねと憎らしい二人
   あじさいはきれいと思う雨宿り
   ウインドのダイヤみつめて雨宿り

   次回に続きます。モルセラ拝

作成者 モルセラ : 2006年7月17日(月) 10:23 [ コメント : 2]

2006年7月11日(火)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。





      或る「川柳論」 川柳の三要素

川柳の三要素と言えば、穿ち、滑稽、軽味であるが、

平易性、共通性、娯楽性を三要素とした現代大衆川柳論が

札幌川柳社の斉藤大雄主幹より発表され、川柳界で議論されている。

一方、番傘ではどうかと言えば、岸本水府師が昭和五年に宣言された

「伝統川柳に近代のおもいを加えた一句をものにする一党、

 それがどうして伝統だ。(中略)僕たちは本格川柳と呼ぼう。」

すなわち、本格川柳は穿ち・滑稽・軽味に「近代のおもい」を

加えたものである。

「近代のおもい」は番傘川柳作家それぞれが考えなければならない

ことを意味している。

また、「近代的おもい」をその時代に合ったものにする必要がある。

本格川柳を標榜した番傘では、既に、昭和五年から連綿と引き継が

れてきている川柳の要素だ。

広島番傘川柳会7月号より。 淡路獏眠氏の見解です。

次回は番傘新人秀吟抄(番傘川柳友の会)番傘川柳本社 鵜飼蟻朗編
の作品を御紹介します。

暑中お見舞い申し上げます。
 元部下に用事を頼む蒸し暑さ  モルセラ

作成者 モルセラ : 2006年7月11日(火) 22:51 [ コメント : 0]

2006年7月2日(日)

喫茶去(きっさこ)

よくいらっしゃいました。
まずはお茶でも召し上がれ。





   大衆川柳
   川柳超入門編 三菱UFJ信託銀行編集「遺言川柳」三回目

   遺産分け 不思議な人が 席につく

   書きながら 気持はすでに 大富豪

   書くたびに だんだん人が 見えてくる

   ありがとう そしてゴメンと 書くつもり

   遺言に 熱き想いは 残したい

   一筆が 火種となるか 輪となるか

   遺言を 夫婦で書いて 握手する

   八桁も あれば遺言 らしくなる

   せみしぐれ いつまで続く 遺産分け

   遺言へ ここぞ男の 見せどころ

   深く掘れ よく耕せと 遺言書

   遺言書 開封迄は 仲が良い

   少ないが きれいな金と 威張る遺書

   引き際の 美学も混ぜて 遺書ができ

   遺書書いて 何も変らぬ 昨日今日

   てにをはも 遺言だけに 直せない

   千枚田の てっぺんに置く 遺言書

   遺言状 まだ逆立ちが 出来るのに

   遺言を 書いて 十年日記買う

   遺言と いう生涯の 決算書

   人生の 最後の辞表 家族宛

   残すまい 青い地球に 負の遺産

   知っていた 遺書の小さな 嘘一つ

   遺産分け 取り残されて いる遺骨

   終章も 父は楷書で 締めくくり

   教養も 知識も智恵も 贈与ずみ
   

   応募数58.496句より特選・入選・佳作の作品を選抜。
  
   私事多忙の為に長らく休ませて頂きましたが今月より再開
   させて頂きます。宜しくお願い申し上げます。モルセラ拝

作成者 モルセラ : 2006年7月2日(日) 17:23 [ コメント : 6]

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