My Fortnight's Dairy

ようこそ私の日記に。ダイビングや旅行を中心思いついた事柄をつれづれに書き綴ります。

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2009年11月17日(火)

地熱発電をテーマにした経済小説「マグマ」を読みました

先日パラオにダイビングに行った際、暇な時に読もうと、棚に平積みされていた本の中かから簡単に読めそうだと持ち出した一冊である。

意外や、読み出したら止まらず結局一気に読破してしまった。

この本に興味を持ったのは、勿論、「マグマ」という、今好奇心を沸かしている地球科学のキーワードを本の題名にしているからだ。

本著は『ハゲタカ』の著者・真山 仁が、地熱発電をテーマに最新のエネルギー情報をちりばめて描いた経済小説で、
その内容のさわりは・・


「外資系ファンドに勤める女性エリート・野上妙子は、地熱発電を研究運営する日本地熱開発(地開)の再建を任される。

地開のシェークスピア文学に詳しい社長・安藤幸二や新技術に執念を燃やす研究責任者の御室耕治郎、かつて「原子力の鬼」と呼ばれた保守党政治家らが絡み、人間模様が劇的に展開する。

地熱発電の「地」の字も知らなかった彼女が、その企業の再生に取り組むうちに、
地熱発電の魅力、潜在力に惹かれ、また熱意あふれる従業員にも押され、その再生に情熱を注ぎ、
次から次に降りかかる困難をものともせず、ついには新技術による高温岩体発電所の完成にこぎつけ、
発電開始のスイッチを入れる・・・」


著者はこの本に2のテーマを掲げていると思う。

一つは、人が生きているために必要な想いとは何か、信念を貫くこととは何かという点に焦点を当てている。

この本の副主人公というか精神的支柱として、死を前にした研究者と彼の妻の二人の生き様と、人生のおとしまえが、この小説のもう一つのテーマとなっている。

事実、やっとこぎ着けた、発電開始のスイッチを押すシーンには感動します。


世界初の商用高温岩体発電に大きく貢献し、その完成を夢みた御室は、その完成を目前にして世を去り、とうとう自分の目でその偉業を見ることは出来なかった。

設備完成を祝う式典の中、始動スイッチを押すことを指名された妙子は、来賓席の片隅にひっそりと、
夫の遺影を抱いて出席している妻千歳に、始動のスイッチを押す大役を依頼する。

事前に何度も懇願したが、成功の真の貢献者は妙子であると,亡き夫より伝え聞く千歳に頑なに拒否されてきたたうえでの再度の依頼で、
千歳は驚くが、最後はこれならば夫の意思に背かないと、妙子の手の上に千歳の手をのせてスイッチを押す。


このやり取りの中、再建者として乗り込んできた若き女性エリートと、研究一筋に打ち込んできた研究者の間には、
初めはいがみ合いもあったが、だんだんお互いの立場、役割を理解し、尊重するようになってきた様子が述べられている。 

そこにあるのは、「地熱発電」を稼動させる感動ではなく、苦難を乗り越えてことを成し遂げ、彼らが、組織、会社、そして社会すらも動かしたという感動である。


もうひとつは、度重なる原発の事故、電力の自由化や地球温暖化対策、そして昨年来の原油高騰などの背景を受けて、
今、改めて電力の在り方が問われ、その課題を大地の恵みと言える地熱発電の再評価を軸にしながら、
日本を取り巻くエネルギー問題を取り上げている。


だが、地熱発電について、私も詳しくは何も知らず、特に高温岩体発電なる言葉は始めてあった。 これを機会に少し調べてみた。


地熱発電は再生可能エネルギーの一種で、枯渇性エネルギーの価格高騰や地球温暖化の対策手法としても、
戦後早い段階からその可能性が注目され研究開発が進められてきた。

再生可能エネルギーは半永久的に利用可能のもので、技術的に利用可能な量は少なくとも現在の世界のエネルギー需要の約20倍もあるという。

普通、風力、太陽熱などを思い浮かべるが、量的には総量の7割近くを占める地熱の足元にも及ばない。

現在、日本では18箇所で地熱よる発電がされており、その総発電設備容量は53万kW以上である。しかし、日本の総発電量の0.2%にも過ぎない。

世界的には米国:0.3、イタリア:1.1、インドネシア:1.9、メキシコ:2.2、フィリピン:20.6%
となっていて、フィリピンが意外と地熱発電大国であることはあまり知られていない。

地熱発電は地下のマグマによる熱水だまりを利用する方法が通常であるが、場所的制約が大きく、
日本では国立公園の法的制約や、温泉に影響があるのではないかと、地域住民の反対も強く大きく拡大していない。

一方、本著で紹介された、火山などに制約されない、2〜3000m地下にある高温の岩体に水を注入して亀裂を作り、蒸気や熱水を得る高温岩体発電も実用段階にあるという。

発電コスト的に見ると、1kWhあたり、原子力が約5.3円、地熱が8.3円という報告もあるが、
これらは関係業界の恣意的な結果を反映している場合もあり、一律的な比較は難しい。

小説のようには、そう簡単にうまくいかない、何かがある、奥の深そうな分野である。

時間があるとき今度じっくり調べてみよう!!

 「マグマ」 真山 仁著 角川文庫

作成者 田中 昌平 : 2009年11月17日(火) 19:42 [ コメント : 0] [ トラックバック : 0]