労働体制(戦時・現在)研究のページ

労働分野において特に重要視される時代として挙げられる1940年前後の体制を研究し、同時に、その体制が崩れつつある現在の状況を考察します。

2011年7月26日(火)

労働組合法上の労働者性の判断基準を初めて提示

「労使関係法研究会報告書」


《業務委託・独立自営業といった働き方をする人が加入する労働組合が、契約先に対して団体交渉を求めたところ、労働者ではないとして団体交渉を拒否され、紛争に至る事例が生じています。》
《労働組合法で定義される「労働者」に該当するか否かについて判断が困難な事例が多い中で、確立した判断基準が存在しなかったこともあり、このような紛争を取り扱った労働委員会の命令と裁判所の判決で異なる結論が示され、法的安定性の点から問題となっていました。
研究会において、労働組合法の趣旨・目的、制定時の立法者意思、学説、労働委員会命令・裁判例等を踏まえ、労働者性の判断基準を報告書として提示したものです。》


......................................................................................................


(1)の基本的判断要素については、おおむね事業体が設定した事業計画に見合う者を確保するものであり、条件もまた計画内のものであるわけで、普通の労働者とほとんど変りはない。したがって、ほとんどの業務委託者をカバーする。そこから、独立体を弾いていくという見方でよいと思われる。なので、対価性においてかなり判断が集中するであろう。特にその見積もり方法がどのような計算であるかにかかってくる。実際のところ、上に書いたようにあらかじめ設定された支給額に乗るようなケースでは、労働者募集と変らないわけである。


(2)の補充的判断要素は難易度が高そうだ。そもそも収入を求めている行為なので、仕事を拒否するケースは少ないはずであるし、現場の営業時間や場所と無関係に業務に従事することは考えられない。が、これは抵触したときの展開いかんにより決め手にもなろう。


 (3)の消極的判断要素は、確かにその通りであるが、これがグレーだからこそこれが問題となっているのである。


普通に読むと、業務委託・独立自営業の者からの団交要求は、多くの場面において、労働者性アリとなりそうである。

作成者 魚座労務士 : 2011年7月26日(火) 18:54
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2011年7月7日(木)

体質強化中

メニコン、異例の全社員ポロシャツ義務化


節電対策でみる日本社会は面白い。
普通、外国人がみて不思議だとか、時には賛辞、時には野蛮だとされる日本人のふるまいだが、日本人もまた違和感を多少もちながらも状況は進行しているのである、実は。


もともと日本は高温多湿化なので、アロハシャツくらいで妥当なはずであるが、節電問題が挙がるまでは礼儀を優先し、背広、ネクタイは必修であった。これもまた日本のあまり理にかなわないふるまいで不思議とされていたことだ。
以前取り扱ったが、風邪をひいたときでも出勤するのが日本人である。本人も周囲もロクなことにならないが、勤勉を優先していたためである。
理にかなわないながら、優先すべき事項に着目されると、日本人のふるまいが理解できる。


さて、日本人もまた違和感を多少もちながらの状況進行は無論戦中と同じである。この在り方に対して、戦後の日本人は自己批判してきたものだが、結局何一つ変えることができなかった。
こうした成り行きによる状況展開は(無論トップダウンであったり、マスコミ報道であったり、契機となるものは存在するが、これらはさほど日本的ではない。)、個々の自覚の薄さにおいていいとはいえないものであるが(戦争責任について当然明瞭な説明等は期待できないように)、こういう方法でしか日本社会が動かなくなっていることに気がつかれよう。主体のない空間とか世界とかもまた、日本社会を説明する上で使われてきた用法である。ここにきて、日本社会はトップの存在は比較的薄く、皆が皆綱引きを常に行っている社会といえる。法的には責任者が追求されることで解決されるが、社会的には皆が負を負う。日本のキリスト教者率は世界的に圧倒的に低いが、その点で共感はされうるのである。ただ、まだ国際社会に対して負い目があるのかどうかは明瞭ではないが、日本社会はまだそこまでは至っていない。しかし、こぞって節電協力体制に入っていることをみれば、それはそれほど遠くは無い。


節電対策と並行するエネルギー転換政策、刻々知らされる電力使用状況をはじめとし、綱引きによる均衡が解かれつつある。

作成者 魚座労務士 : 2011年7月7日(木) 13:58
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2011年7月5日(火)

メビウスの環

戦後労働史をまとめてからも、あれこれ思うことがある。
あれはまとめるのに必死で、あまりゆっくり考える余裕がなかったし、またそれなりのボリュームがある。それに加えて、大河内氏があまり割いておられていない「生産性向上運動」が抜け落ちていたりするので、反省至極である。
「生産性向上運動」は、ヨーロッパで流行り、アメリカ経由で日本の経営者団体に知られた。アメリカの支援の下、日本の経営者はまた独自色を加えて展開させる。アメリカの支援の目的のひとつは急進的な日本の労働組合を経営体に吸収させることであった。上手い具合に、というべきか、皮肉というべきか、この成功は新たな産業報国会であった。アメリカの日本体への民主化政策はこういう運命にあった。無論、そういうような言い方より、これが日本の運命といわねばなるまい。日本人の精神的ストレスはここに発芽する。


横断的労働組合は日本に無い。ナショナルというが、実際は個々の事業内組合の集積である。産業別に横断している組合があり、協力体制を組むことはあるが、原則は個別組合である。戦後直後はこれが有効であったが、今はそうではない。
したがって、事業主都合による労働条件切り下げは容易である。ただし、労働者はそれに応じて静かで目立たないサボに入る。これは自然な状態であるから、事業主は簡単には切り下げないのが普通である。生産性向上運動の残滓がどれくらい残っているかも大きい。
事業が困難になればそうもいっておられず、民事法的な判断を仰ぐか、話し合いによる解決策を模索するかということになる。


労働法も古びた。古びたものもあり、また元来、アメリカによる理念的規定によるわざといわねばなるまい。現実に即した規定も改正点で導入されたりするが、労働法をめぐる日本の労働市場は平行的な関係という事実はなんともならない。
そもそも日本は事大主義すぎるため、韓国ほど事大主義というテーマが出てこない。
まぁこういうことなんだろうなぁ。

作成者 魚座労務士 : 2011年7月5日(火) 15:17
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2011年7月1日(金)

37年ぶり電力制限令発動

電力不足の夏を乗り切るため、東京電力、東北電力管内の大口利用者に対し、15%の節電を達成できないと罰金を科す「使用制限令」が1日、約37年ぶりに発動された。


37年前というと、昭和49年頃。石油ショック時という。


違反対象者があいまいとか批判も確認できるが、やはりそこが日本国とでもいおうか、国民はそこそこ協力的である。「大本営発表」の真偽で国民が動いているわけではないのである。何といおうか、「不穏な空気」に「掛け声」あるいは「ハッパ」が連動すると、国民は反応するのである。後に、あれはデマだとか科学的に証明できないものだとか真面目な者が判明させこそすれ、またそれが国民の信頼を得たとしても、それは国民が変化しただけなのである。


「戦前・戦中・戦後の労働運動史」をようやく終えることができた。戦前と戦中は2年ほど前に、戦後はついこの間終えた。
方法論としての歴史は、唯物史観が嫌われて以後それだけでずいぶんと忌避されてきている。NHK大河ドラマはせいぜい明治初期までで、それ以後を扱うとすれば戦争中であるが、実際のところ各時代の中で扱い難い期間も多いだろう。最も現代日本人が知っておくべき時代はまず扱いにくいといえる。
そういうなか、韓国の時代劇が日本人には面白い。特に王朝時代にはびこる事大主義を鮮やかに表現するところは日本人にはできない。人物についての新解釈などに対する懐疑など意見を表出する者も当然いるが、日本人としてはそんな詳細よりも方法としての歴史が有効だということである。また、革命(謀反)に匹敵することは、王権争いに際し、過去数回はあり成功していたということも、大化の改新しか知らない日本人には驚きであろう。
無論、NHKとしてはおそらく抜けている時代もまた大河ドラマにしたいに違いなかろうが、いかんせん、国民から支持されないのであろう。私の労働史もまた支持されるものではない。


かくして、日本人は古いものを中に仕舞い、客観化しない。結果、変らないのである。
戦後労働史を終えての結論である。
客観視すべき内容は相当積もり積もっているというのに。
残される方法は「泥縄式」。手に触れたものから始める。

作成者 魚座労務士 : 2011年7月1日(金) 23:42
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