年金の支給開始年齢上げ先送り
《小宮山洋子厚生労働相は26日、年金の支給開始年齢を68〜70歳に引き上げる案について「来年の通常国会に法案を提出することはない」と述べ、中長期的な課題として検討していく考えを示した。国会内で記者団に語った。
年金の支給開始年齢引き上げは、政府・与党が6月に決定した社会保障と税の一体改革案に盛り込まれている。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)で具体化に向けた議論を今月から始めたところ、現役世代から反発を受けた。厚労相は「議論や説明の仕方がうまくなかったことを反省している」と釈明した。》
「ねんきん記録問題」以後、国民のけん制が働いたものである。審議会のメンバーであったかどなたかが(こんなに反響があるとは思わなかった)という述懐があったが、国民調査がまったく行われていなかったことがわかる。もしくはシンクタンク能力が何らかの事情で機能しなかったと考えられる。
もともと国民の反応もほとんど無いということが染み付いた国民性が原因としてあるし、審議会のメンバーの生活体験も限られているものだが、もう少し調査能力を発揮してもらいたいものである。税と同じく―税は65歳以上の年金控除額を厳しくしていっているが―年金ももはや「触れると選挙に負ける」事項となっているので、少し前まではできたが今となれば無謀というものである。
またもともと日本はイメージ通りの民主主義体制を備えていない。基本はまだ翼賛主義であり、とりあえずの形式的民主制度(民主的に選出されたという方法)の一点だけを固守してきたものである。ただ、国民はイメージ通りの民主主義をイメージしているため、自分の意見が反映されていない点を常に不満として持つ。しかし、それは不満をもつ事項だけで、民主体制を支える心構えを持たない。結局、審議会のメンバーに一任した状態でしか話が進まないということになっている。翼賛体制のままでよいという気持ちも強いわけである。複雑な国民だということから押さえる必要がある。